騎士はつらいよ~第三回 騎士道 それは究極のやせがまん~
そろそろ2月のグレホメプチオンリー「DoubleEagle」の原稿の修羅場に突入せねばならない管理人です。今回は騎士はつらいよ第三回、「騎士道 それは究極のやせがまん」をお送りします。なお、この考察は第一回、第二回と同様に考察は管理人の主観と独学によるものであり、間違っていることもあるかもしれません。そのことをご了承の上、一時のお暇潰しとしてお読みいただければ幸いです。
騎士道は蛮行のストッパー
ドラクエの世界でも度々登場する騎士道。特にⅪではサマディーやソルティコのイベントで「騎士道」が重要なキーワードとして登場しました。Ⅺ世界の騎士道がどのようなものかは断片的にしか分かりませんが、「一度決めた事はやり通せ」とか、「弱い者を助けよ」とかそんな感じのものでした。つまり、力を持つ者が力に溺れることなく、正しき道を歩むように定められた規範です。
前回までの考察述べましたが、騎士は戦闘のプロフェッショナルです。しかも、出世の方法は戦って武勲を上げることがもっとも手っ取り早い。また、配下や家族がいる場合、自分の稼ぎで食べさせていかねばなりません。
つまり、「戦いになったら手段は問わずに敵を殺し、略奪したもの勝ち」という思考になりやすいわけです。まさに弱肉強食、戦いの後にはペンペン草も生えない……。
しかも、このような思考と行動が「正しい」とされてしまえば、騎士の主君である王もうかうかしていると寝首をかかれかねません。
そこで、「騎士道」という規範を設けることで蛮行のストッパーにしたわけです。
このあたりは、日本の戦国時代に生まれた「武士道」に通じるものがありますね。
騎士道の三本柱
騎士道は時代や国によって多少の差がありますが、最終的に以下の三本柱が騎士道の基本となります。
宗教的騎士道:「忠誠心は王ではなく神」「他者に寛容であれ」「暴力は正しき時にだけ使え」といった決まりごとは、宗教的騎士道に分類されます。なぜ、忠誠心を王ではなく神に、という文言があるかは説明すると長くなるので、次回に回します。
ヘルシングという漫画の中のアンデルセン神父が「いいですか、暴力を振るっていいのは化物と異教徒だけですよ」と口癖のように言っていますが、あれが宗教的騎士道の考え方です。
道徳的騎士道:「敵国を攻めても、略奪とか人殺しとかしちゃダメだよ」とか、「目下の者に優しくしてね」など、「良い騎士」であるための規範です。私たちがよく知る「騎士道」というのが、この道徳的騎士道にあたります。戦いを否定しないのは、それやっちゃうと騎士のアイディンティティが崩壊しちゃうからです。
つまり、「味方に優しく寛大であれ。敵は苦しまずに殺せ」ってことです。コレを元に作られたのが、以下のような騎士の十戒です。
- PROWESS:優れた戦闘能力(fighting skills)
- COURAGE:勇気
- HONESTY:正直さ 高潔さ(no weaseling)
- LOYALTY:誠実〈忠誠心〉(true to your leaders and your friends)
- GENEROSITY:寛大さ(open handedness)
- FAITH:信念(commitment to ideals)
- COURTESY:礼儀正しさ、親切心(dignified and mannerly behavior)
- FRANCHISE:崇高な行い、統率力(noble behavior and leadership)
こうやってあげると、グレイグが理想の騎士であることが分かりますね。正直で高潔で、忠誠心が厚く、無私である。
(結果的に友を闇落ちさせたけどな)
ロマン的騎士道:武士道にはない、騎士道独特の作法や考え方に「レディ」という存在があります。これは何かというと「崇拝の対象としての女性」を作るということです。騎士道には「主君に忠誠を誓う」ことが求められるのですが、それと同じくらい、時にはそれ以上の情熱を持って騎士達は自分が「この人」と決めた女性を崇拝しました。
しかし、崇拝する女性は誰でもいいというわけではなく、以下のような決まりがあったのです。
- 自分より身分が上である
- 既婚者である(未婚がダメってわけではないが、褒められたものではない)
そして、愛はプラトニックでなければなりません。つまり騎士は一途に身分が上の既婚女性をあがめ奉り、奉仕し、女性はそれにプラトニックな恋愛で応えるという関係が理想です。ちょっとわかりにくいですか?では、次の項でドラクエ11のキャラでより詳しくロマン的騎士道について説明します。
ドラクエのキャラで解説するロマン的騎士道
では、ドラクエ11のキャラを使ってより具体的にロマン的騎士道について解説します。
ロマン的騎士道として正しい関係
グレイグとホメロスが、デルカダール王妃を崇拝する
グレイグとホメロスが、結婚したマルティナ姫を崇拝する
グレイグとホメロスが、勇者の配偶者(誰でもいい)を崇拝する
グレイグとホメロスが、ロウの配偶者を崇拝する
シルビアが、グレイグやホメロスの配偶者を崇拝する
対象となる女性はみな騎士より身分が高く、全員が既婚者です。シルビアの身分はゲーム中でははっきりしませんが、多分将軍より下と考えました。
ロマン的騎士道として不適切な関係
グレイグとホメロスが未婚のマルティナ姫を崇拝する
グレイグとホメロスが未婚、もしくは自分より下の身分の者と結婚したセーニャ・ベロニカを崇拝する
グレイグとホメロスがシルビアの配偶者を崇拝する
ロマン的騎士道は基本的に自分より身分が上の「既婚女性」が崇拝の対象です。身分が下の既婚女性、未婚女性は崇拝できないのです。
ロマン的騎士道として適切な騎士と女性のやりとり
以下のことは、ロマン的騎士道として適切な騎士と女性のやりとりです。
いかに騎士が女性を愛し、焦がれているか切々と語る(歌ってもいい)
女性を褒めちぎる
女性の為に戦に勝つ、騎士の試合に勝つと宣言する。
女性に魂を捧げると誓う
女性ののエスコート全般
女性に贈り物を贈る
(何だ、グホの同人誌でグレがホメに対してよくやってるやつだ)
ロマン的騎士道として不適切な騎士と女性のやりとり
肉体関係を結ぶ
ただし、ばれなければOK
(若い騎士が、色気ムンムンの人妻にプラトニックな関係だけで耐えられるか?いや、耐えられない)
これが後に「宮廷風恋愛」に変化していくのです。
なぜ、既婚女性しか崇拝してはダメなの?
騎士が一生懸命奉仕した場合、女性がつい体を許してしまうということは決して珍しくありませんでした。
ロマン的騎士道物語の王道「トリスタンとイゾルデ」も、ヒーロートリスタンは、人妻イゾルデと肉体関係を結び、国を追放されてしまいます。
そして、キリスト教圏において、正式な婚姻関係を結んでいな男女の子どもというのは、さげすむべき存在です。
つまり、騎士が未婚女性を崇拝した結果、過ちが起きた場合、非常に厄介なことになります。
結婚すればいいじゃないかという意見もありますが、身分の高い女性は政略結婚の道具なので、騎士ごときと結婚できないのです。
かといって、女性が未婚のまま子どもを産んだ場合、女性の価値は全くなくなります。処女かつ高貴な身分であることが最大の女性の武器なのです。
その点、既婚女性の場合はたとえ過ちが起こって女性が妊娠しても、夫がいるから安心なんですよ!!
(ばれたら大問題だけどね)
現在の倫理観ですとちょっと理解できませんが、中世では「人妻になってこそ恋愛は楽しめるもの」という価値観だったのです。
グレイグとホメロスに崇拝される方法
では、グレイグとホメロスに騎士道に基づいて崇拝されるにはどうしたらいいのでしょうか?
まず第一に、彼らより身分の高い人と結婚してください。デルカダールの将軍位がどのくらいの高位かわかりませんが、王族なら確実です。
ですから、デルカダール王・ロウ・シャール女王・Ⅺの勇者・マルティナ姫・ファーリス王子の誰かと結婚しましょう。
そして、騎士に「崇拝してえ!!」と思わせるように自分磨きをしてください。たとえば、ホメロスが
「貴方への愛の証しとして私は貴方のドレスを着て戦場に立ちましょう!!」
といえば、ドレスを脱いで与えてください。ホメロスが負傷して戻ってきたら
「貴方の愛に応えましょう」
と血まみれのドレスをまとって舞踏会へでてください。
(実際にそういう逸話が残ってる)
戦国の世ですから、愛を告白する方も受ける側も命がけよというお話でした。
今回はここまで。次回は第四回 宗教と騎士が結びついたとき~宗教騎士団の光と影~です。今まで11の世界に基づいて考察を行ってきましたが、次回は8の世界を基に考察を行います。なぜ、マルチェロは野心を持って聖堂騎士になったかも解説しますよ。
ではまた。
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