ドラクエよろず考察所

ドラクエに関するありとあらゆることを主観に基づいて考察しています。

ルックバックの個人的な覚え書き

仕事が忙しすぎてほぼ仕事したしていない管理人です。こんばんは。ひさびさの記事が漫画の考察で申し訳ないんですが、藤本タツキ先生の読み切り「ルックバック」を読んで、いろいろ思うとことがあったので書き記していこうとおもいます。

さっき、フリートで長文を打ったら半分しか表示されなくて、がっかりしたんですよ

 

※以下は、あくまで個人的な感想です。自分は違うとか、こんな感想は受け入れられないという方は、時間を無駄にさせてすいません。どうかそっとじでお戻りください。

 

私はあなたを知らないけれど、あなたは私を知っている

創作に関わる人間が誰もが一度は感じる恐怖が、「知らない人が自分の一部を知っている」ことだと思う。創作物は世に出れば名前付でありとあらゆる場所に拡散する。そこから、何をくみ取るかは読み手に委ねられる。そして、創作物がプラスの印象を与えるとは限らない。類似を指摘されるかもしれないし、盗作したと思われるかもしれない。世の中の99%の創作物は誰かの模倣で、もう見たことも聞いたこともない物語りなんて、この世に一欠片くらいしかないだろう。そして、創作物を読んで誰が何を思うかは個人的に自由である。この恐怖がこの作品の根源にある

 

京本は天才なのか?

ルックバックの主人公のひとり、京本は小学校の頃から引きこもりである。中学にも登校している形跡がない。世間から見れば早々に生存競争に脱落した「負け組」である。進学も、就職もできず「絵を描く」ことで現実から逃避し、死んだ時にほっとされるような人生を歩んだかもしれない。しかし、京本は藤野と出逢うことで「漫画家」という一発逆転ホームランを放った。それでも、京本はまだ危うい。藤野に「原石を磨いて宝石に仕立てる」という作業をさせるきっかけを作ったものの、彼女はまだ藤野の痕をくっついているだけ。自分でストーリーも作らなければ、売り込みもしない。

あくまで、藤野におんぶに抱っこしているだけだ。その証拠に、藤野は京本が去った後も黙々と漫画を描き続けアニメ化までにこぎ着けている。つまり、藤野と京本が切磋琢磨し成長し合った甘酸っぱい成長ストーリーは、京本が藤野の元を去ったときに終わったのだ。藤野の完全勝利という形で。

確かに、藤野は京本のイラストがきっかけで絵を学び、漫画を描き、共にデビューした。でも、京本がいなければ藤野が漫画を描けなかったとすれば、京本が去った時点で藤野は筆を折らなければならない。そうならないところが、この話の肝だと思う。

余談だけど、pixivに天才漫画家が挫折してウツになってる元漫画家の世話を焼く人の話があるが、一般的な主人公成長譚は後から描いた人が天才で主人公をあっという間に追い越してしまう。でも、京本はそうならなかった。藤野の起爆剤にはならなかったが、藤野を超える天才ではなかった。だから、美大という新しい道を選んだ。そこまで彼女も成長した。(引きこもりに戻らなかった)

 

あったかもしれないハッピーエンド

ルックバックがごく普通の漫画家成長譚であったら、京本は美大に通って全く新しい創作手段を身につけ、再度藤野の度肝を抜くだろう。そして、藤野が奮起する。全く違う場所、違う手段で成功を収め続ける2人の競争譚が、もしこの話がハッピーエンドであったなら、の続きだと思う。そのゴールがどちらかの墓に酒を注ぎながら「最後までお前に勝てなかったよ」というか、「もう一回2人で漫画描くか」になるかは分からないけれど。でも、そうはならなかった。京本の命はある日あっけなく奪われてしまう。

 

創作と殺意

創作で飯を食っていくのは難しい。ヒットの裏には膨大な努力がある。でも、創作物だけをぽんと見せられても作者の苦悩は見られない。そして、表に出てくる創作者は苦労を見せない。そして今、読者と作者の距離はあり得ないほど近い。SNSで感想はすぐに分かるし、売れれば売れるほど妬みとひがみは強くなる。創作をすることはどこかの誰かの妬みを育てることにも繫がるかも知れない。そして、創作者に危害を加える、危害を加える予告をして逮捕される人も後をたたない。

事件によっては殺された人より、殺した人の方に賞賛が集まることもある。そして、この作品は冷静に問いかける。「姓名と年齢だけが広く伝わった被害者がこんな人生を歩んでいたんだよ」と。少し前に「なぜ、人を殺してはいけないのか」という問いとその答えが話題になったことがあったが、この作品はその問いの明確な答えの1つだと思う。奪った命の重さ、尊さはどんな悲惨で同情すべき理由がある人も背負い切れるものではないのだ。

 

そして世の中は事もなく進んでいく

京本の死後も、藤野は筆を折らない。折れないのかもしれない。折ってしまったら、顔もよく分からない殺人犯に負けたことになるから。その心の中は誰も分からない。漫画後半のif設定は、彼女の祈りであり、願いであったがそれは叶えられなかった。京本は理不尽に殺され、藤野は生きていく。それだけ。「殺人は命に対する最大のテロ」と作家の宮部みゆきは言ったが、そのテロリズムは何も起こさない。人が消え、少数の人が嘆き悲しみ、そして世の中は何事もなく進んで行く。

この話は単に成長譚ではなく、創作に関わるあらゆる喜びとリスクと理不尽と、そして救いがつまっている。いや、いい話読みました。

これを何百万人の人を一瞬で殺す漫画チェーンソーマンを描いた藤本先生が描くからすごいんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

割と真面目にドラクエの世界で実際に作ることができる媚薬について考えてみた

こんばんは、ずいぶんと考察の間が開いてしまいました。最近仕事が忙しくて、9月20日から開催されたWebオンリーイベント「エア鷲」では危うく原稿を落とすところでした。いえ、本はできましたよ。これから発送するだけで。
11月のDE2に向けて本を作らなければならないのですが、そのまえにちょっと調べたら面白い事がかけそうなネタを思いついたので、今回はさらっと紹介します。

その前に注意書きです。

本編は「媚薬」というR18的なネタを扱っていますが、全年齢向きですので全ての方に読んでいただけます。

本編はあくまで管理人が主観で書いています。これは違うんじゃないかとか、思ったらそっとじして回れ右してください。

管理人は医学・薬学の専門職ではありません。「こんなことも知らないのかバーカバーカ」というような誹謗中傷はやめていただければうれしいです。

また、この記事はいわゆるBL的表記があります。苦手な方はここで回れ右してください。

では、いいですね。ここから先は自己責任です。OK?

 そもそも媚薬とは何か

媚薬というのは、同人誌において定番アイテムです。ときに、飲まされ、ときに注射され、ときに塗り込められ、「悔しい、でも感じちゃう!!」と懇意の相手をメロメロにさせるアイテムです。ドラクエ11でも、「ラブリーエキス」というどう見ても、媚薬にしか見えないアイテムが登場しました。
では実際に、飲む、打つ、塗るだけで相手をメロメロにさせる媚薬があるのか、といえば答えは、NOです。そんなもんあったらとうに商品化されております。

じゃあ、「バイ●グラ」とかそういうものはなんなのだ?という方もいると思いますが、「バイ●グラ」をはじめとする勃起不全改善薬とは、単に「勃つ」だけの薬です。

つまり、飲めば、目の前にいるのが絶世の美女だろうが、二股大根だろうが、勃ちます。それだけです。Hな気分になるわけでも、「ああ、お前と褥を共にしたい」という欲求が湧くわけではありません。これでは媚薬とは呼べません。

では、Hな気分になる薬はないのか、と聞かれたら、答えは「yes」です。

正確には、薬ではなく「男性ホルモン」の一種である、テストステロン」という物質です。テストステロンは別名、「性衝動ホルモン」と言いまして、これが過剰に分泌されると、いわゆる「褥を共にしたい!!」という強い性衝動が湧き上がります。ついでに、体臭が変化し、異性(もしくは同性)を惹きつけるのです。

では「抱いて!!あなたに抱かれたいの!!」というホルモンはないのか?と問われれば、あります。それが、エストロゲンという女性ホルモンです。これが盛んに分泌されると、お肌がつやつやして、気分が開放的になり、シルエットも美しくなります。つまり、「いつでもバッチこいやー!!」の状態になります。

つまり、左にはテストステロン、右にはエストロゲンはふんだんに分泌されれば、いわゆる「媚薬」を飲んだ状態になるのです。やたー!!

なお、男性ホルモンも女性ホルモンも決して男性だけ、女性だけに分泌されるわけでなく、女性でもテストステロン、男性でもエストロゲンは分泌されます。つまり、媚薬は体内でつくれるのです!!

ホルモンは、塗れ!!

じゃあ、テストステロンとかエストロゲンを飲めばHな気分になるか、といえば、それは違います。ホルモンというのは闇雲に投与しても、肝臓が「毒」と認識して、分解してしまいます。また、「エストロゲン」の錠剤は「更年期」や「卵巣機能不全」の治療に使われるれっきとした「薬剤」です。多量に飲むと、乳房の張りや吐き気などの副作用があります。

じゃあ、安全に「媚薬」としてテストステロンやエストロゲンを利用したい場合はどうするか。答えは、「塗れ」です。

テストステロンおよびエストロゲンは「大東役工業株式会社」より「グローミン」や「バストミン」といった商品名の塗り薬で販売されています。

普通にドラッグストアでも売っていますので、誰でも買えます。まあ、ようするにちょこちょこっと塗ってしばらくたつと気分が高まってくると、そういう作用があるようです。

なお、注射は使えないのかという疑問もあると思いますが、注射を安全に行うには、血管を確保し、そこに正確に針を入れなければならないので、素人がむやみにやるとケガをする、とだけ言います。

 

ドラクエの世界でテストステロンとエストロゲンを手に入れる方法

さて、このテストステロンとエストロゲンという物質、ドラクエの世界で手に入れるにはどうするか。まず、テストステロンは生物の雄の精巣内で作られます。要するに、タマタマの中には、テストステロンがぎっしり!!
大きな生物のタマタマは絶対に大きいので、竜とか巨人のタマタマは媚薬の原料として高く取引されたかもしれません。

ついで、エストロゲンですが、これは「植物性エストロゲン」つまり、大豆イソフラボンから類似物質が作られます。

つまり!!タマタマと大豆で媚薬は作れると言うことです。何、ロマンがない?知らない、知らない。

ラブリーエキスはテストステロン?

それをふまえて、ラブリーエキスとは何かと考察していきましょう。ラブリーエキスは特殊な匂いを発し、敵をうっとりさせるようです。これはまさにテストステロンそのものの働きです。つまり、ドラクエの世界ではテストステロンを凝縮した何かを作る技術があると言ってもいいでしょう。薄い本では受がラブリーエキスを飲む描写が多いのですが、正確に言えば、攻のほうがラブリーエキスを「塗る」ことで、本来の進化を発揮すると推測できます。

体内のホルモンを増やす方法

じゃあ、媚薬は塗り薬オンリーかといえばそうでもありません。テストステロンもエストロゲンも全ての人間が体内で作ることができるホルモンです。ホルモンの原料になる食物を食べれば、体内で作られるテストステロンやエストロゲンは増えます。

これぞまさに食べる媚薬!!

そして、テストステロンの原料は「コレステロール」です。代表例をあげると卵や牛乳です。

エストロゲンは、大豆イソフラボンを取ればそれが代わりとなります。大豆イソフラボンが含まれている食品と言えば、豆腐とか油揚とか、豆乳です。

卵+牛乳、卵+豆乳……

ミルクセーキ、飲めばいいんじゃね?

あまいし、美味しいし、コレステロール12mg入ってるし、豆乳にすればイソフラボン取れるし、ってことで、飲む媚薬!!それはミルクセーキ……

 

スパイスで血行促進!!

さて、単にホルモンをドカドカ投与しても勃って濡れるだけではあまり気分は盛り上がりません。「ああ!!身体が熱い!!」という描写通りの反応を得たいなら、血行を促進させる必要があります。血行を促進させ、なおかつ香りで気分を盛り上げる食物、そう、それはスパイス!!

古来よりそっちの気分を高める食べ物として、スパイスは重宝されてきました。

実際に媚薬として使われたスパイスの例を挙げると、サフラン、ショウガ、ジャスミンクローブナツメグなどがある。これ、全部一度に食べたら効果抜群じゃね?

でも、そんな都合のいい食べ物が、あった……カレーだ!!

クローブナツメグ、ショウガ、全部入っている上にサフランライス、ジャスミンライスにかければとっても美味しい!!

つまり、ミルクセーキ(豆乳セーキ)とカレーが媚薬としては最高の組み合わせとなる、のである。

余談だが、管理人が小学生のとき参加したキャンプのメニューがカレーとミルクセーキだった。

適度な運動の後で食べればさらに効果的!!

なお、媚薬は適度な運動の後で食すとより効果があるという。つまり、適度に魔物を倒した後、キャンプでカレーとミルクセーキを食べれば、「昨夜はお楽しみでしたね!!」の状態になれる、というわけである。いやあ、まさか小学生が大好きなメニューが媚薬になるとは思わなかった。。。

というわけで、バカバカしい考察はこれにて!!

 

 

 

 

割と真面目にグレイグがどのように兵士の指揮を取ったのか考察してみたその2

前回の考察から2か月以上間が開いてしまってすいません。小説書いたり仕事をしていたり多肉植物を枯らしたり新しいものを買ったりしていました。では、今回は前回の続きで、将軍位についていたグレイグが真っ先に敵軍につっこんでいく理由やメリットを重点的に解説します。

 

kakitubata88.hatenablog.com

 ちなみに、前回の記事はこれ。前回の記事なんだったっけという方は、まずは復習からどうぞ。なお、前回の記事なんて読めるか!!という人はこのまま読み進めてください。別に読まなくても意味は通じます。

※ なお、この考察は管理人の完全な主観によるもので、引用した資料によっては「これ、違うんじゃない?」と思う方もいるでしょうし、「こんなの認めない」という人もいるでしょう。そんなときは石にでも躓いたと思ってそっとブラウザを閉じてください。

※これは推測、考察ではないという意見の方もそっとじしてください。文句言うだけ時間の無駄ですよ。

 

そもそも、将軍とはどんな地位?

 将軍というと、軍隊の総大将というイメージが強いのですが、近代の軍隊における「将軍」とは、Wikipediaによると「軍隊を指揮する将官以上の階級」を指すそうです。もう少し詳しく言うと、准将・少将・中将・大将・元帥まで全部ひっくるめた総称が将軍です。アメリカ陸軍の呼称は「General 」海軍の場合は「 Admiral 」です。海軍の場合は「提督」と訳さることが多いのですが、地位的には同等です。つまり、一口に将軍といっても5階級あったわけです。

※ということは、グレイグとホメロスは同じ将軍であっても同地位とは限らない

では、将軍と呼ばれる人達の中でも「総大将」は何と呼ぶかというと、近代の軍隊の場合は、「元帥」です。銀河英雄伝説では、ヤン・ウェンリーがこの地位についています。なお、この「元帥」が軍隊ごとにいる例も珍しくありません。また、元帥を統括する地位として「大元帥」がいました。この大元帥は国家君主の名誉的称号で、日本では明治・大将・昭和の天皇がこの地位についています。ただし、日本で元帥の将軍を得た人物は「西郷隆盛」(陸軍元帥)ただ1人で、ほかは元帥陸軍大将、元帥海軍大将という名称です。

※ややこしいですね、ややこしいですからここは読み飛ばしてもいいですよ

そして、将軍の仕事は軍隊の指揮です。軍隊というのは数十名~数万名の人間の集団ですから、誰かが指揮しないと大人数であるほど現場は混乱します。司令官は基本的に戦いには加わらず軍隊全体の動きを見ながら、兵をどこに動かすか命令を下します。しかし、それはあくまでも近代国家の戦闘の場合。戦闘機・大砲・銃などが主力武器の近代戦では、司令官は軍略に通じていれば、射撃が下手でも体力無くても、ひ弱でも務まります。ヤン・ウェンリーなんかはまさにそのタイプですね。(絶対にひ弱でもなれる、とは限らない)しかし、剣・槍・弓などが主力武器となる前近代的戦闘においては、司令官といえどもひ弱では務まりません。自分自身が戦闘のエキスパートである必要があります。では、次に前近代的戦闘における将軍の役割について解説していきます。

アルスラーン戦記で説明する前近代的将軍の役割

アルスラーン戦記は、今さら説明するまでもないほど有名な田中芳樹の小説です。

アルスラーン戦記の中には「万騎長(マルズバーン)」という地位があります。その名の通り、「1万人の兵士を指揮することができる司令官」という意味で、「将軍職」といっても差し支えないでしょう。ちなみに、アルスラーンが治めるパルスの軍隊は、「大将軍(1名)」→「万騎長(12名)」→「千騎長(1名の万騎長の下に10名いると考えて、120名)」→「百騎長(1名の千騎長の下に10名いるとして1200名)」という指揮系統だったと推測されます。

そして、主要登場人物の1人、万騎長の地位についていた「ダリューン」は1万人を指揮する司令官でありながら、最前線で戦っているのです。

※その間、部下の指揮はどうしているという突っ込みはしてはいけない

ダリューンは、「黒衣の騎士」と呼ばれ武芸の達人、怪力無双、立ちはだかる敵をバッタバッタとなぎ倒し、敵軍には恐怖の象徴として恐れと憎しみを向けられ、味方からは頼もしすぎる軍神的な存在として崇拝の対象でもあります。

※ なお、グレイグとは異なり、堂々と娼館には行く

つまり、あくまでフィクションの例ですが、銃が登場しない前近代戦では、総大将以外の大将には武芸に秀でたものが就任し、一騎当千の働きをすることで、味方の戦意高揚および戦況を有利に進める役割を担っていたということが分かります。現場からたたき上げの司令官なんて、このよい例ですね。

なお、近代以降の戦闘では司令官が全部前線から退いているわけではなく、「幼女戦記」のターニャ・デグレチャフ少尉(後に中佐)のように最前線にたつ指揮官もいます・ただし、ターニャ・デグレチャフは佐官(将官の下)であり、大将ではなない。

 

グレイグが最前線にたつ理由とメリット

では、ここでグレイグが将軍でありながら最前線に立って敵陣につっこんでいく理由とメリットを紹介していきます。

 

戦意高揚と役割分担

前述したように、めっちゃ強い人が自分の前に立って戦ってくれたら、人間は安心します。そして、精神の安定すれば肉体は本来の強さを発揮できます。つまり、訓練どおりに武器を扱って戦果を上げられるということです。俗に言う「一頭の狼に率いられた百頭の羊の群れ」状態です。倒すのが困難な強い敵はグレイグが、そのほかの敵は一般兵士が倒す役割がある程度決まっていれば、兵士は無理に強い敵に立ち向かう必要もありません。その精神的余裕は相当な物だと思います。

また、グレイグが強い魔物をバッタバッタとなぎ倒していけば、兵の戦意は高揚します。「俺たちは強いぜー」という集団が武器を持って突進すれば、実力以上の成果が出る、かもしれません。

前線の状況把握

行軍する前、司令官達は入念に作戦を練ります。しかし、物事は予想どおりにいきません。前線が今、どんな状況になっているのか正確に把握できる将官が1人は必要になります。そして、その将官が現状を伝令を使って司令本部に伝えます。それを元に、別の司令官が作戦を練り直したり、修正をしたりします。これは、佐官でもできることなんですが、佐官の場合は把握できる部隊に限りがある(階級上他の部隊の指揮は難しい)ので、軍全体を把握できる大将1名と補佐官が2名くらい最前線にいると非常に助かるわけです。

おとり

言い方は悪いんですが、最前線でド派手に暴れている将官がいると、敵はそこに引きつけられます。というより、そのド派手に暴れている将官を倒さない限り本陣には突撃できないわけです。グレイグが軍を惹きつけているうちに、ほかの司令官が作戦を修正したり練り直したりして、必勝の策を考えます。そして、伝令を通してその作戦がグレイグに伝わり、彼もその通りに動く。そうすれば、見事な連携プレイができますね。

 

後方支援だって楽ではない

さて、ここまで最前線で暴れるグレイグの役割やメリットを紹介しましたが、もちろん、彼1人がいくら強くてもできることには限りがあります。グレイグの体力も無限ではありません。

グレイグが暴れまくって敵を倒している間、彼の周辺では複数の補佐官が戦況を把握し、随時本部に戦況の状態を知らせていると考えます。戦況を知らされた司令官たちは、軍をどのように動かすか、前進か撤退か考えなくてはなりません。

※放っておけばグレイグはひたすら目の前の敵を倒し続けるバーサーカー状態なので

デルカダール軍においては、事前に作戦を立て、実際の戦闘中は戦況を読みながら、作戦の変更や修正をしていく役目を担っていたのが多分ホメロスでしょう。最前線で暴れ回るタイプの将官の場合、後方で手綱を掴む存在がないと戦況全体を掴むことができず、裏をかかれて全滅することもありえます。

ですから、ホメロスはグレイグの暴れっぷりと敵の動きを観察しつつ、グレイグをどうやって動かしていいか考え、途切れ途切れにもたらされる報告から前線の状態を把握し、全体の指示を出す必要があるのです。

というか、そもそも作戦を考える段階でグレイグが全力で暴れられるような立地で戦いができるように作戦を練らなければなりません。

ぶっちゃけホメロスの方が大変じゃね……?

これでグレイグが命令無視で暴れ回った日には、そりゃあ、嫌みの一つもいいたくなりますわ。グレイグが心置きなく敵陣に突撃できたのは、後方支援がしっかりしていたからと考えると、よけいにね……

 

空高く舞い上がる鷲とそれを見守る鷲

結論から言うと、グレイグ1人では指揮官と最前線で活路を開く最強戦士の役割を兼ねることはできないと考えられます。(できないことはないが非常に難しい)

グレイグが心置きなく暴れるためには、残りの兵全体に目を配って時には突出しすぎる彼の手綱を取るもう1人の司令官が必要だった。その訳を担っていたのがホメロスだったと思うんですよ。だから、グレイグが天高く舞い上がって獲物に向かって急降下する鷲ならば、ホメロスは急降下する鷲が無事に獲物を捕えられるように見守る鷲、なわけです。どっちが欠けても魔物には勝てない。

そしてこの2頭の鷲を正当に評価しながら軍全体を統括するのが王の役目の分けですが、ウルノーガはわざとその評価をいびつにしたわけです。

この2人の仲を見事に引き裂き、闇落ちさせたウルノーガって本当に策士ですよね。

 

ということで、割と真面目にグレイグがどのように兵士の指揮を取ったのか考察してみたを終わります。次回の考察は「国が滅びるとはどういうことか、割と真面目に考察してみた」というテーマで、国家の枠組みを考察してみようと思います。

 

では、また

 

 

 

 

割と真面目にグレイグがどのように兵士の指揮を取ったのか考察してみたその1

2年間育てたサボテンが植え替えに失敗して腐ってしまい、じゃっかん落ち込んでいる管理人です。前回はホメロスがゲーム中に率いていた海軍とはどのようなもので、どんな戦いをしたかを考察しました。今回は、グレイグが率いていた軍はどのようなものか、構成から戦い方まで考察してみようと思います。

※ なお、この考察は管理人の完全な主観によるもので、引用した資料によっては「これ、違うんじゃない?」と思う方もいるでしょうし、「こんなの認めない」という人もいるでしょう。そんなときは石にでも躓いたと思ってそっとブラウザを閉じてください。

※ すいません、1千万人の1%は10万人でした。大変失礼しました。ご指摘、ありがとうございます。

 銃がない世界での戦い方

用兵について説明する前に、「銃」が登場する以前の世界で、人はどのように戦ったかを少々説明します。
銃が登場する以前、戦場では、武器として弓・槍・棍棒・剣などを用いていました。中世的な文明をもった異世界ドラクエ含む)の主要武器というと、「剣」ですが、現実世界の主力武器は「槍」です。剣と槍を比べると、槍の方が圧倒的に間合いが広く、遠距離で戦うことができます。「遠距離からの攻撃ならば、弓を使えばいいのでは?」と思う方もいるでしょうが、弓は連射に限度があり、距離を縮められると太刀打ちできません。ですから、遠距離からの攻撃、もしくはゲリラ的な攻撃手段として弓矢を用い、敵と直接刃を交えるときは槍、槍の間合いにお互いが入り合った場合や、室内戦の場合は剣や棍棒を用いました。ですから主要武器、および戦い方は以下のようになります。

  • 弓矢:敵が10m以上離れている場合に用いる。弩および大型弩(バリスタ)は100m以上の射程距離があるが、連射が効かない。(ドラクエⅪの世界で、弩(ボーガン)のみ登場)
  • 槍:2m以上敵と間合いを取って戦える。遠心力を利用すればかなりの破壊力を生み出せる。
  • 剣・棍棒・斧:敵と取っ組み合うしかない、というほど近距離まで接近したときに役立つ武器。間合いは1m程度。見た目は大変カッコイイが、鎧を着ている相手と戦う場合は、切るというより殴ってつかう。つまり、バールのようなもの!!」

中世の軍隊というのは、この3つの武器を持った人間の集団です。

馬は戦車である

中世の戦闘で武器と同じくらい欠かせないものといえば、「馬」です。馬は最高時速80kmで走ることができるので、これに鎧を着た人が乗って武器を構えてつっこんできた場合、その破壊力と迫力は相当なものがありました。
革ジャンを着てバールのようなものを持ったグレイグが、バイクに乗って時速40kmで突進してきた。と想像してみましょう。怖いですね、恐ろしいですね。

こんなのと何度も戦ったあげく、仲間にしてあげた勇者って凄いね

つまり、馬は戦車のようなものと考えてください。武器を抱えて突進していけば、人はもちろんのこと、魔物だって弾き飛ばせます。

騎兵と歩兵の違いは金と技術

中世レベルの技術と文明の世界で軍隊を編成すると、騎兵と歩兵が生まれます。騎兵は馬に乗った兵、歩兵は徒歩の兵です。この2つの違いは経済力と技術力です。馬に乗りながら武器を振るう、というのは一朝一夕でできることではありません。長年の訓練が必要です。また、馬は高価で維持費もかかります。戦いで使う馬は基本自前で用意するので、貧乏な兵士は馬に乗れません。ですから、騎兵=経済的に豊かであり、戦闘能力に長けた者。歩兵=武器の扱いは達者だけど、経済的に余裕がないか身分が低い者や馬に乗って武器を振るう技術がない者、でした。「じゃあ、身分が高くて金持ちでも、身体能力が低くて馬に乗れない者は歩兵なのか?」というと、そんな人はそもそも戦場に出てこないので、やっぱり歩兵は貧しい家の出身、騎兵は身分が高く経済的に豊かな者という図式になります。
なお、弓兵は基本立ち止まって矢をつがえるので、身分や経済力に関係なく徒歩です。馬に乗って駆けながら矢を射かけるのとても難しい上、狙いが定めにくいので、騎馬弓兵が実際に戦場で活躍した例はそれほど多くありません。

デルカダールの軍隊の規模を考える

では次に、デルカダール国にはいったいどのくらいの兵士や騎士がいたのか、考察してみます。銀河英雄伝説でも言っていましたが、軍隊というのは巨大な消費組織です。何も生み出さず消費していくだけなので、大人数の軍隊を抱えるほど国家の負担は大きくなります。一節によると、国家が常時養える兵力は全人口の1%~1.5%が限度だそうです。つまり、デルカダール国の全人口が1千万人だと仮定して、最大で10万人の兵士が常時いた計算になります。日本の人口は、14世紀(もののけ姫の頃)で800万人~1千万人だそうなので、デルカダールの人口が1千万人だとしてもおかしくないでしょう。
また、普段は別の仕事についていて、戦うときだけ徴兵される人がいた場合、総人口の5%~最大10%くらいの人数を短期間「兵士」として養うことができます。そこから考察すると、デルカダールの軍隊は常時では10万人前後、非常時に徴兵制を利用した場合、50万~100万人までは兵士を増やせるということです。
しかし、1千万人人口がいても兵士として戦え、さらに兵士になりたいという人は限られているので、常時の軍隊は2~3万くらいだったかなと考え増す。
3万人の軍隊というと「凄い大軍」と思うかもしれませんが、関ヶ原の戦いでは東西軍それぞれ8万人の兵士がぶつかりあったので、格別に多いとはいえません。
100万人の軍勢となるとかなり大いのですが、これだけ人数を動かすには指揮官もそれなりに用意しなければならないので、数がいればいいというわけではないのです。

 

そして、デルカダール国は国家の事業として騎士を育成していました。この騎士というのは単なる兵士ではなく、指揮官として兵を統率できる者だと推測されます。(つまり、士官学校的な役割ということです。)城で育成される騎士の人数は不明ですが、グレイグとホメロスが常に一緒にいることができたということから考えると、数十人~100人までの規模だったのではないでしょうか?
騎士見習いが常時十数人~100人ほどいて、そのうち8割が兵士だけでなく、指揮官として働ける騎士となれたと仮定します(2割は脱落した)。デルカダールには最低でも常時100人~300人くらい(毎年30~50人くらいの新人上級騎士が生まれ、10年くらい戦場に立ち続けた仮定する)の指揮官がいて、そのトップに将軍がいたと推察できます。その指揮官達が、それぞれ部隊を率いていたとしたならば、一番小さい部隊で30名~60名くらい、大きな部隊で100名~200名くらいだったと思われます。中世の情報伝達手段の悪さを考えると、30名~60名ごとに隊長を1人置いた小隊をつくり、それを10個あつめて、大隊を作ってそこにまた指揮官を置き、大隊をまとめ上げて指揮したのが「将軍」としたほうがうまくいきそうです。つまり、将軍となったグレイグは最大で数万人規模の兵士を指揮していた、と仮定できます。

騎士の戦い方は基本的に集団戦

さて、騎士の戦い方ですが、基本的に集団戦です。まとまって敵に突進していって戦います。それはなぜか。この映像を見ればよく分かります。(1:17秒~のところ)


STEEL!2016第二回リーグマッチ3 20 2016#8 【JABL ジャパン・アーマードバトル・リーグ】

複数人数同士の戦いでは、1人になるとよってたかって集団でボコボコにされる!!
こうならないためには、大勢で固まって敵をなぎ倒していくのが一番なのです。

その極端な例がこれ。歩兵同士は剣と槍だけを武器に野っ原でぶつかった場合、攻める方は力づく、守る方も人数頼みで肉の壁を作ります。作戦も何もあったもんじゃない。


テルモピュライの戦いを再現『Ultimate Epic Battle Simulator』

 

こんな戦い方をしていると、兵士が何名いても足りないので、騎兵や弓兵を利用して陣刑を突き崩したり、守ったりするわけです。

で、騎兵の威力とはどんなもんかというと、こんな感じ。

これは、アメリ南北戦争を舞台にした映画のワンシーンです。


アメリカ騎兵部隊の突撃 南北戦争映画「騎兵隊」1959年

馬に乗った兵士が銃弾もなんのそので、敵陣につっこんでいきます。
もう1つ、騎兵の突進の威力がよく分かる映像がこれ。


勝元の最期①【ラストサムライ】

ご存じ、ラストサムライの1場面。銃であっても騎兵の歩みを容易に止めることはできない。

このシーンは馬VS銃なので馬が劣勢になっていきますが、迎え撃つのは弓だったり槍だったりする場合、馬の歩みを完全に止めのは容易ではないでしょう。このように、騎兵が駆け抜けて道を作った後、歩兵がついていって残りを片付ける。これが中世の戦い方の基本です。つまり、「数が多い方が勝つ!!」
(これを知ってると、少人数で大人数を討ち破ったホメロスの有能ぶりが分かるよね)

では、守る方はどうするかというと、密集隊形を作って槍とか弓で応戦するのです。この完成形の1つが「方陣」といい、

https://ameblo.jp/tank-2012/entry-12141916855.html

このリンク先にあるように、長槍を外に向けて構えて密集隊形を組む。これなら、馬でも簡単に蹴散らせない、弓矢で射かけられても容易に突き崩せません。この方陣の外側を銃兵や弓兵が守って敵を寄せ付けなければ完璧です。

 

グレイグの英雄的戦い方を考察する

さて、このような戦い方を踏まえてグレイグの戦い方を考察していきます。


【鑑賞用】ドラゴンクエスト11S⑭最後の砦【Switch】ストーリームービーボイスDragonQuestXI

グレイグが隊を指揮する場面が本編中に何回かありますが、その中でも最後の砦のシーンは、ある程度人数がある隊を率いる様子がよく分かります。31分~ですね。ある程度の距離までお互い前進したら、 弓兵が敵をひるませ、次に騎兵が突進して密集している敵をバラバラにして、最後に勇者をはじめとする歩兵が各個撃破する。
戦いのお手本のような素晴らしい展開です。さて、この戦い方を見るとグレイグがなぜ「英雄」と呼ばれているのかよく分かるのですが、文字数が4千字を超えたので、ここで一度区切ります。

次回は、「グレイグが指揮官でありながら、先陣切って敵につっこんでいく理由とメリット」を中心に、中世騎士の陸戦をさらに考察していきます。

 

続く!!

 

 

ホメロスが率いていた海軍とはどんなものか、割と真面目に考察してみた

自粛自粛の毎日ですが、10年前から自営業で在宅勤務をしているため、生活に大きな変化などない管理人です。こんにちは。1か月ほど間が開きましたが、今回の考察は海軍です。ドラクエ11ではホメロスが海軍を率いていたという設定が出てきますが、実際に海軍は登場しません。ホメロスが船に乗るシーンも出てきません。ならば、ホメロスが率いていた海軍がどんなものか、実在の資料を基に考察してみようと思います。

※ この記事は単なるドラクエファンである管理人があっちこっちから資料を引っ張って付け焼き刃で考察したものです。あくまでも主観に基づく記事なので、気に入らない方、受け入れられない方はそっとブラウザを閉じて、見なかったことにしてください。

 

 ドラクエⅪに出てくる船の動力を考察する

海軍について語る前に、まずはドラクエⅪに出てくる船の動力について考えて見たいと思います。船を動かすには、動力が必要です。船の動力を歴史順に並べると、人力→風力→蒸気→ディーゼルエンジンとなります。ドラクエの船といえば「帆船」Ⅺに登場するシルビア号も一本マストに4枚の帆を持つ帆船です。

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帆船なのに外輪があるとか、スピードが出すぎとという突っ込みはおいておこう

(船における外輪はスクリューの代わりであり、アイデア自体はローマ時代からあったものの、実用化されたのは蒸気船が登場してからである。それまでほぼ飾り)

シルビア号を見る限り、櫂は見当たりません。そこから、ドラクエⅪの船の動力は「風力」であり、帆船が主流であると考えられます。つまり!!軍艦も帆船に違いない!!異論は認める。

海戦とはどんな戦い?

「海戦」と聞いて皆様が想像する戦いは。おそらく、こんなものではないでしょうか?


Sinking of Prince of Wales(マレー沖海戦)後編

もしくは、こんなの。


【HD】パイレーツオブカリビアン ワールドエンド 最後の戦い11-11

1本目の動画は太平洋戦争のマレー沖海戦、2本目の動画は、映画「パイレーツオブカリビアン」の帆船同士の戦いです。

この2本の動画に共通するものはなんでしょうか? 答えは、「長距離攻撃ができる武器同士で戦っている」ということです。

そう、海戦とは大砲とか、銃砲とか魚雷とか飛行機とかで、遠距離から攻撃しあう戦いです。それはなぜか。答えは簡単です。

「船は自由自在に動けない」

からです。蒸気船が開発されるまで、船は人力で漕がない限り、基本的に風と潮の流れに沿ってしか動けませんでした。つまり、「敵を発見した!!」といってUターンしたり、斜め45度に回ったり、急旋回することはできません。基本的にまっすぐ進んで敵とぶつかり合うだけです。(ゆっくり左右にそれることはできる)

また、帆船というのは非常に遅いのです。日本では、現在、「日本丸」「海王丸」という2隻の帆船を有していますが、日本丸が風の力のみで航海した場合、最速でも13ノット(24km/時)しかでません。一般道を走る自動車よりよっぽど遅い!!しかもこれは、帆に追い風をはらみ、潮の流れに乗った最大速度です。帆船が風下にいて、潮の流れに逆らって動く場合は、さらにスピードが落ちます。人が歩く速度、あるいはもっとゆっくりしか動けない可能性が高いのです。しかも、海には隠れる場所がありません。ですから、帆船同士の戦いの場合、「あ、敵だ!!」と思った時点で相手に攻撃をしかけないと、やられます。そのため、船同士で戦う場合、遠くで飛び道具で打ち合うしか戦い方がなかったんです。

しかし、ここで、疑問に思う方もいるでしょう。


【HD】パイレーツオブカリビアン 呪われた海賊たち 戦闘シーン③2-4

こんな感じで、船同士が接近し合って、大砲とか拳銃とか打ち合ったあげく、相手の船に乗り込むことがあるのでは?

はい。たしかに、船同士がお互いにぶつかり合って乗組員同士が直接対決するっていう戦いはあります。ただし、これをやってしまうとどっちかの船が90%くらいの確率で壊れます。そして、「帆船同士」が「風力」だけで動いている場合、ここまで船同士が接近するのは非常に難しい。こういう戦いをしたい場合は、船を人力で動かす必要があります。こんな風に


Ben-Hur (2016) - The Battle

これは、「ベン・ハー」の一場面です。ローマ帝国時代の海戦は、このように人力で船を動かして敵の船に自分の船を衝突させる、もしくは火矢をいかけて船を沈没させるという方法を取りました。

このように人力で船を漕いだ方が船は意のままに操れます。自分の船の船首を相手の船の横っ腹にぶつけて破損させるという戦い方もできるでしょう。ただし、このような攻撃をするには、多大なマンパワーと強靱な船が必要です。つまり、船同士がぶつかり合う海戦ってとてもコストがかかる戦い方でもありました。

ここまでのまとめ。

1.船同士の戦いは基本的に遠戦。大砲とか砲撃、弓矢で相手の船を撃沈させる。

2.帆船は自由自在に動けない。相手の船に飛び移って戦いたい場合、船同士を衝突させたい場合は、人力で船を動かす。

3.帆船同士が戦った場合、風上にいて潮の流れに乗っている方が断然有利。風下で向かい風の時に敵に見つかったら、回れ右して逃げないと的になる

4.帆船で海戦を挑む場合、必勝法はまず追い風、風上に立ち、相手よりさきに攻撃をしかける。

5.人力で船を操る場合、一番守らなければならないのは船を漕ぐ水夫。コレがやられることは、エンジンが止まるのと一緒。

 

つまりですね、海戦って戦略も戦術もあったもんじゃなく、「先手必勝!!、風上に立て!! 相手の攻撃が通らないくらい頑丈な船で戦いを挑め」っていう戦い方なんです。

帆船の軍艦とはどんなものか?

さて、海戦のイメージがつかめたところで、次は帆船の軍艦について解説します。
帆船の軍艦としては、15世紀~18世紀までは「ガレオン船」17世紀~19世紀までは「戦列艦」が有名です。ガレオン船とは、アメリカ大陸を発見した遠洋航海船、キャラック船を改造した船で、4〜5本の帆柱を備え、1列か2列の砲列を備えた帆船です。安土桃山時代、南蛮船として日本にやってきた帆船もガレオン船です。

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(こんなの)

ガレオン船は荷物が多く積めるので、商船としても活躍しました。喫水が浅く、速度が出やすいというメリットがある反面、転覆しやすいというデメリットがあります。伊達政宗が建造し、欧州へ使節を送った船もガレオン船であり、1990年に日本で復元され、記念館まで建てられています。

https://www.santjuan.or.jp/restore.html#2

ここから、船の内部、船の全体図が見れます。

一方戦列艦とは、17世紀から運用され始めた戦艦で、造で非装甲大砲を50門以上搭載した3本マスト帆船のことです。パイレーツオブカリビアンの動画内で、海賊達に木っ端みじんにされている船がこれです。時代が下るにつれて大型化し、100門以上の大砲を積んだ船が珍しくなくなりました。これはどんな船かというと、4階建てのビルが海に浮かんでいると考えてください。1階~3階まで全部大砲、4階が甲板という作りです。つまり、より遠くから、強力な攻撃が可能なわけです。「なんで、甲板にむき出しの大砲をおかないの?」という疑問もあると思いますが、この時代、大砲が水に濡れると火薬に火が付かず、役立たずになりました。だから、大砲は船内にしまっておかなければならなかったんです。

帆船が大型化すると、まさに「動く要塞」になるので、より防御力も高まります。その一方で、喫水が深くなり、停泊できる場所が限られ、航海できる海域が限られるという問題もでてきます。

ホメロスが乗っていたのはどんな船?

さて、ここでドラクエⅪの地図を見てみましょう。

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ドラクエⅪの世界では、多くの国が内海に面しています。特に、デルカダール国は王都が内陸深い場所にあり、外海とはソルティコにある水路を通らないといけなくなっています。さて、この内海ですが、現実の世界では「外海にくらべると海流が穏やか」「水深が浅い」という特徴があります。つまり、あまり喫水が深い船だと航海が難しいのではないかもしれません。実際、「シルビア号」は一本マストの「ダウ船」とおぼしき船です。ダウ船とは、紅海や地中海を行き来していた貿易船で、1本マストと横帆をもつ船のことで、喫水が浅くスピードが出ます。ですから、ホメロスが乗っていた船は、攻撃力は高いけれど喫水が深い戦列艦より、喫水が浅くスピードが出て積載量の多い、キャディラック船である可能性が高いと、推測できます。

ホメロスは船に乗って何と戦っていたんだろう?

では次に、ホメロスは船に乗って何と戦っていたか、推測していきます。1つは海に住むモンスターです。おそらく、鋭い爪や牙で船を壊して転覆させる輩です。こんな輩が海にいたんでは安全な航海ができないぜ、ということで、ホメロスは海路の安全を守るために、海軍を率いて内海をぐるぐる回っていた、かもしれません。

2つめは同じ人間です。ドラクエⅪに人間同士の戦いは出てきませんが、もしかして海には海賊が出たかもしれません。国内で内戦があったかもしれません。ですから、船同士の戦いもあった可能性は十分にあります。

というわけで、ホメロスが率いた海軍は、対モンスター、対人間と戦える戦力があったと推測されます。人間同士の戦いは、前述したように大砲をはじめとする飛び道具で打ち合って船を沈没させたと推測できますが、対モンスターはどうでしょうか?海に住むモンスターとの戦いは船の上でも人間側が不利でしょう。しかし、陸へ追い込んだらどうでしょうか?


クジラ追い込み漁 ハナゴンドウ捕獲

 

ちょうどこんな風に小型船でモンスターを陸地へと追い込み、身動きが取れなくなったところを攻撃する。これなら、勝てます。つまり、海軍には「遠距離攻撃ができる大砲をつみ、いざというときに盾となれる大型戦艦」と「小回りが利いて自由自在に動き、敵に体当たりしたり敵の船を乗っ取る小型船」が必要だと推測されるでしょう。

ホメロスが率いる海軍の構成を考察する

さて、以上を踏まえ、ホメロスが率いていた海軍の構成と規模を推測していきます。

1.旗艦:1隻。大将、ホメロスが乗船する船。キャディラック船。最も大きい。もしかすると装甲に鉄板を用いているかもしれない。動く要塞。装備は大砲とバリスタ(大型弩)

2.大型戦艦 5~8隻 ホメロス以外の司令官が乗る船。キャディラック船。もしくはシルビア号と同等の大きさの船。戦いにおいては「盾」の役割を担う。大砲、バリスタを装備

3.小型船 10~20隻 人力で動き小回りがきく船。帆はない。もしくは戦闘では使用しない。普段は内海の各町村に船を置いておき、戦の度にホメロスの命令で船が出される。スピードが速く船にぶつかって沈没させたり、魔物との接近戦を担う。搭載武器はバリスタ、小型大砲、人力で引く弓、魔法の使い手

(軍艦の数については、15世紀のヨーロッパ諸国の海軍の規模を参考にした。これでも最小の数である)

 この3種類があれば、おおよそどんな敵がきても対応ができると思います。デルカダールの兵の総数は分かりませんが、旗艦1、大型戦艦8,小型船20、だったばあい、2,000~3,000人くらいの人手がいれば、船は動きます。(旗艦を動かす水夫:250人、大型戦艦を動かす水夫200×8 小型船を動かす水夫、50×20と計算)

 

戦うだけじゃない。海軍の用途

さて、海軍には戦うほかにもう1つの用途がありました。それは、物資と兵士の輸送です。海路は1度開発しさえしてしまえば、船を使って多量の物資と人員を遠方に送れます。デルカダールは各国に軍を派遣していたということで、ホメロスがグレイグ率いる陸軍を船に乗せて目的地まで運んだり、物資を補給していたりしたかもしれません。つまり、後方支援です。陸に大軍が通れる道を整備し、それを維持するよりよっぽど簡単です。その反面、海が嵐になって物資が届かず、グレイグ隊があわや餓死の危機にってこともあったかも、しれません。

 

以上、海軍のお話でした。考察。終わり

 

割と真面目に公式設定のホメロスが人間の敵になったらどれほど驚異か考察してみた

世の中いろいろ騒がしいですが、妄想や考察ならば誰にも迷惑がかからないのでやりたい放題ですね。こんにちは。管理人です。今回から王様の考察をしていこうかなと思ったのですが、Twitterでちょこちょこつぶやいていた、

ホメロスが公式設定の能力全開で人間の敵として立ちはだかった場合の驚異度」

をここらでまとめておきたくなりました。

なお、この考察はいつものごとく主観に基づくものであり、間違いもあるかもしれません。一時の暇つぶしで楽しんでいただければ幸いです。

 

ホメロスの公式設定での能力

ホメロスは公式設定では、頭脳明晰で少数の人数で多数の魔物を撃破するなど、智略を活かした作戦で数々の功績を上げていたとあります。
また、海軍の司令官でもあって航海術に長けており、話術も巧みだったとあるので、軍人としてだけでなく、外交官のような役割を担っていたかもしれません。そして、もちろん腕っ節もたつし、呪文にも秀でています。

異世界転生ものの主人公も真っ青なチート能力ですね。

公式設定のホメロスが持っている知識とできること

さて、このような公式設定があるホメロスが持っているであろう知識は以下の通りです。

  • デルカダール国の軍事全般を初めとする経済、流通、交易、外交に関わる知識
  • クレイモラン、サマディーなど、世界の主要国家、主要都市の軍事、経済、交易に関する知識
  • 全世界の航路及び各国の海運、船団に関する知識
  • 英雄、グレイグに関する知識
  • 古代図書館に関する知識
  • 魔物に関する知識

これらを活用すると以下のようなことができます。

  • 全世界の航路を魔物によって封鎖することができる
  • 各国の港や船を魔物によって破壊させることができる
  • 各国の王族や貴族の間に不和の種を蒔き、疑心暗鬼にさせて自滅させることができる
  • 各国を魔物を率いて武力を持って壊滅させることができる
  • 古代図書館を我が物にすることができる

グレイグが闇落ちするよりよっぽど怖いんですが……

公式設定のホメロスを失ったデルカダールに訪れるだろう危機

ホメロスは将軍兼軍師ですから、戦いとなれば作戦を立て、指揮官として戦場に立ちます。さて、この作戦というのは単に兵を動かすルートや方法を考えるだけではありません。兵をスムーズに戦地まで運ぶ方法を考え、必要な糧食の量の計算及び輜重舞台の編成も行います。もしかしたら、軍事行動に必要な資金の調達もやっていた可能性もあります。つまり、ホメロスがいなくなったら最悪の場合、軍事行動が一切できなくなるかもしれません。もちろん、これだけのことをすべてホメロス1人がやっていたとは考えにくいのですが、彼の部下が「ホメロスの指示したことだけを指示の通りにやる」ことしかしていなかった場合、ホメロスの代わりを務めることは非常に難しいと思います。

また、大量の兵士を一度に遠方に運ぶ場合、船が最も有効な輸送手段ですが、指揮を執る人間がいなければ航海も難しくなります。

なお、グレイグはゲーム内で「俺は戦うことしかできない」と堂々と言っているので、ホメロスの代わりを務めることはできない可能性が高いでしょう。

つまり、ホメロスがいなくなれば、いくら大量の兵士がいようと魔物を打ち倒すだけの軍事行動ができず、太刀打ちできずにやられるかもしれません。

公式設定のホメロスが能力全体で人間の敵に回ったら?

では次に、公式設定のホメロスがその知識と能力を余すことなく使って人間の敵に回ったらどうなるかを、シミュレーションしてみます。

大樹が落ちた混乱に乗じて航路を占拠する

大樹が落ちた後、世界は大混乱に陥ったと予想されるので、それに乗じて各国を繋ぐ航路すべてに魔物を放ち、海上交通を不能にします。これにより、各国は孤立し、物資及び人の行き来が不可能になりました。そうなると、クレイモランのような農業に不向きな国は深刻な食糧不足に陥る可能性が高くなり、何もしなくても勝手に滅びてくれます。

各国、各都市に疑心暗鬼の種を蒔いて一致団結を防ぐ

ホメロスにとって一番の脅威は、全ての国と都市が一致団結して魔物に立ち向かうことです。そこで、まだ「デルカダール国王は魔物が化けていた」という情報が世界中に伝わらないうちに、世界の主要都市に軍師兼将軍の名前で以下のような情報を各国に個別に発信します。

「今回の黒幕は、××国(クレイモラン、サマディーなど)であり、国はすでに魔物に占拠されている。今後同盟を持ちかけても、魔物の罠である。デルカダールが国王の名にかけてグレイグ将軍が救援に行くので、それまで持ちこたえてほしい」

デルカダールは世界最大の軍事国家であり、グレイグは英雄です。国の将軍であるホメロスの名前でこんな手紙が来たら、多分、すがりたくなってしまうでしょう。これで、各都市はお互いに疑心暗鬼となり、来るはずのない「デルカダールの援軍」を待ち続けることになります。

デルカダールを集中攻撃する

ホメロスは軍師ですから、自軍の弱点をよく知っています。昨日まで頼もしい味方だった将軍が、魔物を率いて攻めてきて国王も英雄も行方不明とあれば、兵士の士気は最低になるでしょう。デルカダールを滅ぼせば、「世界最大の軍事国家であるデルカダールさえ、打ち倒されてしまった」ということで、人々の気力を一気に奪うことができます。

グレイグを倒す

グレイグは英雄であり、大樹が落ちた時点で勇者よりも人々の希望になっています。「グレイグ将軍さえいれば、何度でも立ち直れる」と想う人も多いことでしょう。ということで、デルカダールを滅ぼした後は、グレイグを倒します。

多分ここがゲーム内の「最後の砦~デルカダールの王宮への侵入、ゾルデとの戦い」までの流れだと思うのですが、公式設定のホメロスが知力と能力を全開でグレイグに相対した場合、ゾルデとグレイグ、勇者が戦っている間に魔物の姿になって最後の砦まで行き、住民を皆殺しにした上で、グレイグを待っている可能性もあります。

冷徹なる軍師ですから

いくらグレイグが一騎当千の働きをしたとしても、守らなければならないものを皆殺しにされた事実を突きつけられたらくじけちゃうと思うのです。で、そこを一気にぶっすりとやってしまいます。ついでに、グレイグを倒したことを全世界に広めましょう。

後は、細々抵抗してくる人々を各個撃破すればいいだけです。

結論

ホメロスがグレイグに執着してくれて、視野が狭くなっていてよかったね……。

世界最大の軍事力を持つ国の軍師兼海軍司令官、希代の用兵家が敵に回ったら普通、人間が負けます。というわけで、考察はここまで。読んでいただいてありがとうございました。

 

 

 

騎士はつらいよ 第4回~聖堂騎士団の光と闇~

ずいぶん期間が空いてしまいました。久々のドラクエに関する考察です。今回は騎士はつらいよ第4回、「聖堂騎士団」について解説します。なお、この考察は私自身の知識や主観に基づくものです。当方、西洋史の専門家ではないので、歴史的記述に対しては一部間違いや理解に不十分な点があるかもしれません。そこら辺は片目をつぶってスルーしていただければ嬉しいです。

聖堂騎士団って何?

 聖堂騎士団とは中世ヨーロッパ、ちょうど十字軍が遠征をしていた1100年代に活躍していた騎士修道会の1つです。騎士修道会とは、騎士でもあり修道士でもある人々で構成された騎士団で、日本でいう「僧兵」にあたります。十字軍の主軸になってエルサレムに遠征したり、エルサレムまで巡礼にいったりする人を守ったりしました。また、「北方十字軍」といってまだキリスト教を国教としていない国々を征服し、「改宗しろ」と迫るのも仕事の1つだったのです。

つまりですね、ヘルシングアンデルセン神父とか、由美江とかそういうのが集団になっているようなもんです。あ、王ではなく神に忠誠を誓っているグレイグの集団でもいい。

 中世ヨーロッパにはいくつかの騎士修道会がありましたが、聖堂騎士団聖ヨハネ騎士団ドイツ騎士団は三大修道騎士団として有名です。

ドラクエの世界では

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やっぱりこの人ですね。マルチェロ殿。ドラクエの世界で教会が独立した「武力として騎士団」を持ち、「法皇」というトップが登場し、その座を巡って聖職者が争うというシーンが描かれたのは、今のところドラクエ8が最初で最後。

聖堂騎士団と普通の騎士団では何が違うの?

一般的な騎士団は王や諸侯に忠誠を誓った戦闘員の集団です。守るのは王や諸侯の土地や利益であり、王や諸侯は騎士に見返りとして金銭や土地を与えなければなりません。ギブ&テイクの関係です。

中にはグレイグみたいに忠誠100%の騎士もいたかもしれないけど、大抵は金と地位目当てだよ。世の中そんなに甘くないよ

しかし、聖堂騎士団は戦士であると同時に修道士でもあります。「建前」として、個人の財産は持てません。聖堂騎士団に入るためには、全財産を教会に寄付し、それは騎士団全員の共有物になります。そして、聖堂騎士が忠誠を誓うのは神(の代理人である法皇)です。この時代、教会はどこの国にも属さず独立した権力機構でした。ですから、聖堂騎士団もどこの国の王にも膝を屈することなく、『独立した団体」として騎士団長の元、自由に活躍することができたのです。(ただし、法皇の命令は聞くよ。これが、マルチェロ法皇を目指した理由でもある。法皇になればすべての教会のトップに立てるから、王でなくても強大な権力と莫大な財産が手に入る)

今でも「出家」とか言って、新興宗教がよくやる手ですね。無給で使える人材が一杯入ってくる上、財産が増えるんですから笑いが止まりませんわ。

つまり、騎士団員に給与も褒美も必要ない。衣食住だけ保証してあげればいい。しかも、「神への喜捨」の名目で寄付金も集められる。これは大きいです。元々「戦争」というのは、膨大な消費行為であり、軍隊は何も生み出しません。しかし、給与も必要ない(というか、騎士団員が財産もってくる)、寄付の名目で王や諸侯からはお金をせびることができる、となれば、軍隊の維持方法や金策に頭を悩ませる必要はなくなります。黙っていても、入団希望者がやってくる度にお金が増えていくのですから。

財産は増やしてこそ意味がある

さて、このように強力な武力と豊富な財力に恵まれた聖堂騎士団が戦いのないときに何をしていたか。それは、「銀行業」です。聖堂騎士団の業務の1つにエルサレムに巡礼へいく人々の警護がありますが、その当時の旅は過酷でした。泥棒とか追い剥ぎとかも珍しくなく、路銀をもっている巡礼者は格好の獲物となります。そんな巡礼者に、聖堂騎士団は持ちかけます。

「な、うちらにお金あずけへん?そうしたら、この為替発行するわ。この為替を聖堂騎士団が駐屯しているところで見せればお金を引き出せるねん。現金もっていくよりあんしんやろ。どうや?」

ドラクエゴールド銀行のモデルは聖堂騎士団だったんですね(嘘です)

もちろん為替を発行するには手数料がかかります。つまり、これで財を増やす。さらに増やした財を貸し付けることもしました。貸し付ける相手は「国」です。
中世では、国が安定して税を取り立てることはとても困難で、ちょっと飢饉や戦争が起こればすぐに国庫が傾きます。そこに聖堂騎士団は持ちかけるんですね。

「あんたんとこの国、今年財政厳しいんちゃいます?よかったらお金貸しますわ。なーに、利子はちょーっとつきますけどな。とりあえず今を乗り越えることが先決でっしゃろ」

 見える、見えるぞ。マルチェロのゲス笑顔が(褒め言葉)

 こうして、ほとんどの国が聖堂騎士団から借金をすることになりました。中でも借金額が多かったのはフランスです。1200年代末にはついに財政すべてが聖堂騎士団管理になってしまい、国の経済は騎士団に握られるという有様になっていました。

こうしてみると騎士団って何?と思いますがドイツ騎士団なんて今のロシアの端っこを占領して国を作ってますから、まあ、「財力と武力を持った宗教団体」は国に匹敵する権力が持てるというよい証明になですね。

人間の方がゲスだった

さて、こんな風に栄華を極めた聖堂騎士団ですが、思わぬ滅ぼされ方をします。

聖堂騎士団を滅ぼしたのは、フランス王「フィリップ4世」別名美男王と呼ばれたほどハンサムな王様でしたが、この人は酷い人でした。なにせ、聖堂騎士団から莫大な借金をしておきながら、

「あれ?聖堂騎士団を叩き潰しちゃえば借金が帳消しになるだけじゃなくて、お金も儲かるんじゃない?」と考えます。

 

まるで「サラ金に火をつければ借金を返さなくてもすむぜ」と考える追い詰められた人みたいですね。

さて、フィリップ4世は何をしたかというと、教会に匿名で

「あのねー。聖堂騎士団の皆さんは反キリスト教的行為をいっぱいしたよー」と密告したあげく、いきなりフランスに駐屯していた聖堂騎士団のリーダーを捕らえて火あぶりにします。

これが、元祖匿名炎上ですね。(嘘です)

こんなバカな話があってたまるかと思うんですが、それだけ聖堂騎士団が目障りだったといういう国が多かったのでしょう。その後、聖堂騎士団はちりぢりになり、教会の権力が及ばない地域へ落ち延びていきます。つまり、中世では「異端審問」にかけられたらそれでもう人生が終わってしまうものだったのです。

なお、フィリップ4世が行った聖堂騎士団壊滅作戦は本当はもう少し複雑で、教皇も関わってくるんですが長くなりそうなので割愛します。興味ある人はまたご自分で調べてみてください。

現在も残る騎士修道会

さて、こんな風に聖堂騎士団は壊滅してしまいましたが、実は現在でも活躍している騎士修道会があります。その名は『マルタ騎士団」といい、聖ヨハネ騎士団が元になった騎士団です。この騎士団はかつてマルタ島に領土があったので、マルタ騎士団って呼ばれるようになりました。この騎士団、現在は国土を有していませんが、

イタリアに「マルタ宮殿」って事務所構えてて、その事務所は大使館同様治外法権で、国連にオブザーバーとして参加していて、独自に外交を結んでいる国が107過酷もあって、今の団員の主な活動はイタリア共和国軍の軍医部隊。

 

注 べつにラノベの設定ではありません。現実にこういう団体があるんです。

いやあ、戦地で怪我して動けなくなってたら、「マルタ騎士団到着!!」と白衣着た軍人さんがだーっとやってきたらめっちゃ萌えるじゃないですか。

 

というか、現パロでドラクエやるなら マルチェロククールもグレイグもホメロスも全部マルタ騎士団に入れちゃえばいいんだよ。騎士で医者だよ。最高じゃない。

 

というわけで、今回は聖堂騎士団についてざーっと説明しました。これで騎士については一応終了です。次回からはドラクエ名脇役キャラ「王」についてかいせつしていきます。

では、また。