ホラー映画好きが考察するミッドサマー
久々にはてなブログを更新したと思ったら、ドラクエと全く関係のないネタですいません。今回は、『ドラゴンクエスト・ユアストーリー」に続いて2回目の個人的な主観に基づく映画批評です。お題は今話題の「ミッドサマー」。久々に素晴らしいホラー映画を見たので、ホラー好きによるホラー好きのための考察をしようと思います。
なお、この記事は映画のラストまでのネタバレをがっつりしています。そして、ルーンとかの考察もほとんどしていません(もっと詳しい記事が一杯ある)。以上をご了承ください。
- ミッドサマーは紛れもないホラー映画である
- すべてをさらけ出した怖さ
- 息づかいのリアリティ
- 暗く始まって明るく終わる
- これは六部殺しでもある
- 主人公に共感すればハッピーエンド
- この映画はホラー映画上級者向け
ミッドサマーは紛れもないホラー映画である
最初に説明しますが、私は「超」がつくホラー好きです。グロ以外なら大抵のホラー映画は見ています。また、ホラー小説や怪談も大好きです。アリ・アスター監督は「ヘレデタリー」でファンになりました。
さて、ヘレデタリーですが、公開前から「これはホラーではない」「失恋映画、家族映画」と宣伝されていて、それも1つの話題になっていましたね(監督が直接語ったらしいけど)
日本の片隅に住む1ホラーファンの意見ですが、これは紛れもないホラー映画です。
というか、これほど手垢が付きまくって薄汚れた素材ばっかり寄せ集めた映画も久々に見ましたよ。
- 無知な若者が好奇心で一般常識が通じない場所に集団で行く
- 常識が通じない人々によって殺されるor酷い目に遭う
- 現地の人々の風習や因習を尊重しないので殺されるor酷い目に遭う
- ケンカするカップル。そして片方が死亡する
- 友人達が仲間割れして、そのうち半数が死亡する
- 「自分はここを出て行く、もうたくさんだ」と言った人が真っ先に犠牲になる
どれもこれも全部洋画ホラーのお約束です。「悪魔や幽霊などの超自然的なものが出てこないホラー映画で、これらのテイストを1つでも含んでいないものを探せ」
というほうが難しいじゃないでしょうか?動物とかゾンビが出てくるパニックムービーだって、「カップルor仲間がケンカして死亡フラグが立つ」ってのはよくあります。
アリ・アスター監督のすごいところは、「こんな手垢のついた素材ばっかりを集めて、ホラー好きの心を揺さぶるような素晴らしい映画を作った」ってことです。
つまり、見せ方と脚本が最高にうまい
彼以外がメガホンを取ったら、よくあるB級~C級のVシネマになったんじゃないかなと思います。
すべてをさらけ出した怖さ
多くのホラー映画は、暗闇の中で話が展開していきます。「暗闇」というのは、人の想像力をかき立てるものです。暗闇の中で変な音がしただけで、人は恐いものを想像します。しかし、人の想像力には限界があります。
「ほーら、恐いだろう」と、怖さの断片を見せられても、「多分恐いんだろうな」というリミットがかかってしまうのです。つまり、一種の安全装置ですね。
しかし、「ミッドサマー」は暗闇がありません。すべてが真っ青な空の下、さんさんと陽光に照らされながら惨劇がすすんでいきます。監督が見せたい恐怖を観客はバッチリ見せられてしまうのです。これは恐い。「幽霊」とか「悪魔」のような超自然的な怖さなら描く怖さには限界がありますが、人が人に行う残酷行為は無限の種類がありますし、実例もたんまりです。
しかも、アリ・アスター監督はすべての惨劇に美しい花を添えています。最近の映画の流行かもしれませんが、血しぶきを花びらで代用する演出はよく見ます。しかし、この映画はグロいものに美しい花が添えてある。これには心が混乱します。
「自分が今見ているものは、恐いものなの?美しいものなの?」と訳が分からなくなるのです。自分の価値観の根源を揺さぶられているような恐怖。これがミッドサマーの魅力だと思います。
息づかいのリアリティ
この映画を見る前、「音が恐い」という前評判を耳にしました。BGMが恐いのか人体破壊の音が恐いのかと思っていましたが、それ以上に「登場人物の息づかい」が恐いのです。この映画は、しばしば登場人物の目線でカメラが展開します。そして、息づかいがまるでBGMのように挿入されているのです。耳元で「はあ、はあ」という荒い息づかいが聞こえたら恐いでしょう。あれが全編にわたって入っています。
そして、この息づかいが「共感」を生み出してもいます。ラスト付近、主人公は恋人が村娘とおぞましいセックスをしているのを見てすごいショックを受けます。その後、村の女達が主人公と呼吸を合わせ、感情を共有してくれるのです。その結果、主人公は「私の気持ちを分かってくれた」と感動するんですが、これが観客にも伝染するんです。大勢の呼吸音を耳元で聞いて大勢が1つの感情に身を任せるのを見て、
「ああ、分かってもらってよかったね」とパチパチしたくなるんです。それが恐い。「まて、この女達はこのおぞましい風習を受け継いでいるぞ。しかもわざと主人公にセックス見せてなかったか?」
と一拍おいて気づく。自分の感情が映画に翻弄されてる。これぞホラーの醍醐味ですよね。
暗く始まって明るく終わる
通常のホラー映画は明るく始まって暗く終わります。「楽しい旅行のはずがとんでもない恐怖に巻きこまれた」という筋の場合、明るい風景とBGMが徐々に暗くなっていくでしょう。でも、ミッドサマーは真逆なんです。
最初は寒々しく真っ暗な冬の風景から始まり、ラストは真っ青な空の下主人公は美しい花に埋もれて笑ってるんですね。
で、やってることは恋人に熊の生皮をかぶせて小屋に閉じ込めて火をつけて生け贄にするっていうとんでもないことです。このギャップがもう最高。こんな恐怖の描き方があったか。コレは映画でないとできない。視覚に直接訴えかける恐怖。小説では無理な表現方法。拍手喝采したいです。
注 ホラージャンキーの感想です。
これは六部殺しでもある
アリ・アスター監督は「ミッドサマー」が日本の伝承や民話に影響を受けた話しだと明らかにしています。一例に挙がったのが「楢山節考」ですが、これは姥捨山伝説です。
多分、じーちゃんとばーちゃんが投身自殺したシーンが強烈なんで、この作品が挙げられたと思うのですが、個人的に、この映画は日本各地に伝承が伝わる「六部殺し」でもあると考えます。
六部殺しとは、『旅の巡礼者を村に招いてよってたかって殺してしまい、村人が豊かになるが、その因果が子供に出て大変なことになる」という怪談のテンプレートです。
つまり、外から富と情報をもたらしてくれる部外者を村人が殺すことによって村が豊かになりましたという話しでもあります。日本はコミュニティの結束力がとても強く、部外者を忌避する傾向にありました。ミッドサマーの中でも、あの村人は「この因習が時代遅れでなんか変だ、他のところでは忌み嫌われている」というのは分かってるんですよ。でも、やっぱり守り続けてる。先祖からの習慣だから。コレも日本っぽいですよね。スウェーデンが舞台ですけど日本が舞台でも全く問題なかったと思います。
で、余談なんですがあの村はキリスト教ではないんです。教会がないのはもちろんのこと、遺体を火葬にしている。これは、キリスト教の習慣ではないんですね。それにしても、遺体を焼くのにきっちり12時間以上もかけたのは感心しました。野天焼きの場合、一昼夜くらいかけないと遺体は骨にならないんです。芸が細かいですね。さすがアリ・アスター監督
主人公に共感すればハッピーエンド
ミッドサマーは、主人公が最初から不幸です。両親と妹を同時になくし、恋人は言葉では理解してくれても心は寄り添ってくれない。「私の気持ちなんて誰も分かってくれないんだ」状態です。そして、村に来てサンサンと降り注ぐ陽光の下、めい一杯体を動かして「私たち、言葉がなくてもわかり合える」と感動するわけです。
ある意味カルトに嵌ってく過程そっくりですが、アリ・アスター監督は「ま、それが本人の幸せならいいんじゃね」ってスタンスです。この突き放し感が好き。大好き。
その結果、主人公は多分村の一員になって気持ちの悪いセックスして子供産んで、72歳になったら飛び降りて死ぬんでしょう。ここに共感できればハッピーエンドです、この映画。傷ついている人ほど共感しやすいかもしれない。その点はちょっと恐いです。
この映画はホラー映画上級者向け
普段、ホラーをほとんど見ない人が、この映画を見ても「グロイ、気持ち悪い、もうダメ」という感想になりがちです。でも、ホラー好きなら「そうか、こんなホラーの見せ方があるのか」と感動できます。そういう意味で、この映画はホラー上級者向けです。グロイのが嫌いな人、気持ちが悪いのが嫌な人、不協和音に耐えられない人はおすすめしません。非常に人を選ぶ映画です。
以上
騎士はつらいよ~第三回 騎士道 それは究極のやせがまん~
そろそろ2月のグレホメプチオンリー「DoubleEagle」の原稿の修羅場に突入せねばならない管理人です。今回は騎士はつらいよ第三回、「騎士道 それは究極のやせがまん」をお送りします。なお、この考察は第一回、第二回と同様に考察は管理人の主観と独学によるものであり、間違っていることもあるかもしれません。そのことをご了承の上、一時のお暇潰しとしてお読みいただければ幸いです。
騎士道は蛮行のストッパー
ドラクエの世界でも度々登場する騎士道。特にⅪではサマディーやソルティコのイベントで「騎士道」が重要なキーワードとして登場しました。Ⅺ世界の騎士道がどのようなものかは断片的にしか分かりませんが、「一度決めた事はやり通せ」とか、「弱い者を助けよ」とかそんな感じのものでした。つまり、力を持つ者が力に溺れることなく、正しき道を歩むように定められた規範です。
前回までの考察述べましたが、騎士は戦闘のプロフェッショナルです。しかも、出世の方法は戦って武勲を上げることがもっとも手っ取り早い。また、配下や家族がいる場合、自分の稼ぎで食べさせていかねばなりません。
つまり、「戦いになったら手段は問わずに敵を殺し、略奪したもの勝ち」という思考になりやすいわけです。まさに弱肉強食、戦いの後にはペンペン草も生えない……。
しかも、このような思考と行動が「正しい」とされてしまえば、騎士の主君である王もうかうかしていると寝首をかかれかねません。
そこで、「騎士道」という規範を設けることで蛮行のストッパーにしたわけです。
このあたりは、日本の戦国時代に生まれた「武士道」に通じるものがありますね。
騎士道の三本柱
騎士道は時代や国によって多少の差がありますが、最終的に以下の三本柱が騎士道の基本となります。
宗教的騎士道:「忠誠心は王ではなく神」「他者に寛容であれ」「暴力は正しき時にだけ使え」といった決まりごとは、宗教的騎士道に分類されます。なぜ、忠誠心を王ではなく神に、という文言があるかは説明すると長くなるので、次回に回します。
ヘルシングという漫画の中のアンデルセン神父が「いいですか、暴力を振るっていいのは化物と異教徒だけですよ」と口癖のように言っていますが、あれが宗教的騎士道の考え方です。
道徳的騎士道:「敵国を攻めても、略奪とか人殺しとかしちゃダメだよ」とか、「目下の者に優しくしてね」など、「良い騎士」であるための規範です。私たちがよく知る「騎士道」というのが、この道徳的騎士道にあたります。戦いを否定しないのは、それやっちゃうと騎士のアイディンティティが崩壊しちゃうからです。
つまり、「味方に優しく寛大であれ。敵は苦しまずに殺せ」ってことです。コレを元に作られたのが、以下のような騎士の十戒です。
- PROWESS:優れた戦闘能力(fighting skills)
- COURAGE:勇気
- HONESTY:正直さ 高潔さ(no weaseling)
- LOYALTY:誠実〈忠誠心〉(true to your leaders and your friends)
- GENEROSITY:寛大さ(open handedness)
- FAITH:信念(commitment to ideals)
- COURTESY:礼儀正しさ、親切心(dignified and mannerly behavior)
- FRANCHISE:崇高な行い、統率力(noble behavior and leadership)
こうやってあげると、グレイグが理想の騎士であることが分かりますね。正直で高潔で、忠誠心が厚く、無私である。
(結果的に友を闇落ちさせたけどな)
ロマン的騎士道:武士道にはない、騎士道独特の作法や考え方に「レディ」という存在があります。これは何かというと「崇拝の対象としての女性」を作るということです。騎士道には「主君に忠誠を誓う」ことが求められるのですが、それと同じくらい、時にはそれ以上の情熱を持って騎士達は自分が「この人」と決めた女性を崇拝しました。
しかし、崇拝する女性は誰でもいいというわけではなく、以下のような決まりがあったのです。
- 自分より身分が上である
- 既婚者である(未婚がダメってわけではないが、褒められたものではない)
そして、愛はプラトニックでなければなりません。つまり騎士は一途に身分が上の既婚女性をあがめ奉り、奉仕し、女性はそれにプラトニックな恋愛で応えるという関係が理想です。ちょっとわかりにくいですか?では、次の項でドラクエ11のキャラでより詳しくロマン的騎士道について説明します。
ドラクエのキャラで解説するロマン的騎士道
では、ドラクエ11のキャラを使ってより具体的にロマン的騎士道について解説します。
ロマン的騎士道として正しい関係
グレイグとホメロスが、デルカダール王妃を崇拝する
グレイグとホメロスが、結婚したマルティナ姫を崇拝する
グレイグとホメロスが、勇者の配偶者(誰でもいい)を崇拝する
グレイグとホメロスが、ロウの配偶者を崇拝する
シルビアが、グレイグやホメロスの配偶者を崇拝する
対象となる女性はみな騎士より身分が高く、全員が既婚者です。シルビアの身分はゲーム中でははっきりしませんが、多分将軍より下と考えました。
ロマン的騎士道として不適切な関係
グレイグとホメロスが未婚のマルティナ姫を崇拝する
グレイグとホメロスが未婚、もしくは自分より下の身分の者と結婚したセーニャ・ベロニカを崇拝する
グレイグとホメロスがシルビアの配偶者を崇拝する
ロマン的騎士道は基本的に自分より身分が上の「既婚女性」が崇拝の対象です。身分が下の既婚女性、未婚女性は崇拝できないのです。
ロマン的騎士道として適切な騎士と女性のやりとり
以下のことは、ロマン的騎士道として適切な騎士と女性のやりとりです。
いかに騎士が女性を愛し、焦がれているか切々と語る(歌ってもいい)
女性を褒めちぎる
女性の為に戦に勝つ、騎士の試合に勝つと宣言する。
女性に魂を捧げると誓う
女性ののエスコート全般
女性に贈り物を贈る
(何だ、グホの同人誌でグレがホメに対してよくやってるやつだ)
ロマン的騎士道として不適切な騎士と女性のやりとり
肉体関係を結ぶ
ただし、ばれなければOK
(若い騎士が、色気ムンムンの人妻にプラトニックな関係だけで耐えられるか?いや、耐えられない)
これが後に「宮廷風恋愛」に変化していくのです。
なぜ、既婚女性しか崇拝してはダメなの?
騎士が一生懸命奉仕した場合、女性がつい体を許してしまうということは決して珍しくありませんでした。
ロマン的騎士道物語の王道「トリスタンとイゾルデ」も、ヒーロートリスタンは、人妻イゾルデと肉体関係を結び、国を追放されてしまいます。
そして、キリスト教圏において、正式な婚姻関係を結んでいな男女の子どもというのは、さげすむべき存在です。
つまり、騎士が未婚女性を崇拝した結果、過ちが起きた場合、非常に厄介なことになります。
結婚すればいいじゃないかという意見もありますが、身分の高い女性は政略結婚の道具なので、騎士ごときと結婚できないのです。
かといって、女性が未婚のまま子どもを産んだ場合、女性の価値は全くなくなります。処女かつ高貴な身分であることが最大の女性の武器なのです。
その点、既婚女性の場合はたとえ過ちが起こって女性が妊娠しても、夫がいるから安心なんですよ!!
(ばれたら大問題だけどね)
現在の倫理観ですとちょっと理解できませんが、中世では「人妻になってこそ恋愛は楽しめるもの」という価値観だったのです。
グレイグとホメロスに崇拝される方法
では、グレイグとホメロスに騎士道に基づいて崇拝されるにはどうしたらいいのでしょうか?
まず第一に、彼らより身分の高い人と結婚してください。デルカダールの将軍位がどのくらいの高位かわかりませんが、王族なら確実です。
ですから、デルカダール王・ロウ・シャール女王・Ⅺの勇者・マルティナ姫・ファーリス王子の誰かと結婚しましょう。
そして、騎士に「崇拝してえ!!」と思わせるように自分磨きをしてください。たとえば、ホメロスが
「貴方への愛の証しとして私は貴方のドレスを着て戦場に立ちましょう!!」
といえば、ドレスを脱いで与えてください。ホメロスが負傷して戻ってきたら
「貴方の愛に応えましょう」
と血まみれのドレスをまとって舞踏会へでてください。
(実際にそういう逸話が残ってる)
戦国の世ですから、愛を告白する方も受ける側も命がけよというお話でした。
今回はここまで。次回は第四回 宗教と騎士が結びついたとき~宗教騎士団の光と影~です。今まで11の世界に基づいて考察を行ってきましたが、次回は8の世界を基に考察を行います。なぜ、マルチェロは野心を持って聖堂騎士になったかも解説しますよ。
ではまた。
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割と真面目にホメロスが村を焼いた過程を考察する
本日の考察は2本立てです。え、読む時間がない?そんなこと私は知らない。やれるときにやる。それが考察だ!!ということで、2本目はドラクエⅪでホメロスが行った最大の悪行の1つ、イシの村丸焼きの過程を考察します。
なお、この考察はあくまでも私の主観的な考察であり、これが絶対に正しいと言っているわけではありません。そこをご了承の上、一時の暇つぶしとしてお楽しみください。
- なぜ、グレイグはホメロスの悪行を途中で止められた?
- 村を焼くのに必要な人数と武器はどのくらい?
- グレイグはホメロスの行軍日程を正確に知ることが出来たのか?
- ホメロスは勇者が囚われた日に出発できたのかどうか?
- ホメロスが最短で村を焼く方法
- グレイグはいつホメロスに合流したのか
- 結論
なぜ、グレイグはホメロスの悪行を途中で止められた?
ドラクエⅪでは序盤で主人公の故郷、イシの村がデルカダールの将軍ホメロスによって丸焼けにされてしまいます。村焼きはあまり戦闘に積極的でない主人公を強引に強くするための王道手段ですが、この村焼きは以下のような過程で行われたので、プレイヤーに疑問を残す結果になりました。
- 勇者が育ての母から勇者の生まれ変わりであると知らされ、イシの村からデルカダール王国へ旅立つ
- 勇者、デルカダール王国に到着。デルカダール王とグレイグ、ホメロスと面会
- 勇者の話でグレイグ・ホメロス・王は初めてイシの村の存在を知る
- 勇者、悪魔の子として拘束される
- ホメロスは調査のためにイシの村におもむく
- グレイグは勇者を地下牢に繋ぎ、「3日経てばホメロスが帰ってくる」告げる
- 勇者、牢の中でカミュと会って脱獄
- 地下水路でデルカダール兵と追いかけっこ
- 滝へ飛び込んで、導きの教会にたどりつく
- スラム街からデルカダールへ再侵入、レッドオーブの行方を突き止める
- ナプガーナ密林経由でイシの村に帰り、村が破壊されて村人がいなくなっている事実を知る。
- 大樹が落ちた後、再開したエマに「ホメロスに村人が皆殺しにされそうになったところ、グレイグが止めた」という事実を聞かされる
このチャートを見ると、ホメロスがイシの村へ向かったとき、グレイグはまだ王宮にいたことになります。
ホメロスがイシの村に行って燃やして帰ってくるまでに3日かかるとすれば、グレイグが1日遅れで出発した場合、どんなに急いでもホメロスに追いついたときは村は焼けて村人は皆殺しになっている可能性が高くなります。では、なぜグレイグはホメロスを止められたのでしょうか?それを次の項から説明していきます。
村を焼くのに必要な人数と武器はどのくらい?
さて、一口に村を丸焼きにするといっても簡単にはいきません。
いきなりホメロスが1人で松明を持って民家に突撃したとしても、放火犯として取り押さえられるのが落ちです。
ゲーム画面で見た限り、イシの村には教会を除き9件の家がありました。1家に5人(勇者の家は2人暮らしだけど)の人間が住んでいたとして、最低でも40~50名の人間がいるはずです。ただし、中世の文明で「村」を維持していくためにはマンパワーが必要です。イシは牧畜が盛んで、あまり他所との交流が盛んではなさそうです。
つまり、村で自給自足がある程度出来なければなりません。というわけで、切りのいいところで村人が100名いたと仮定します。
この100名の村人を抵抗できないように押さえつける兵力が必要です。
また、イシの村人は16歳の若者でも剣を扱ってモンスターを倒しながら旅が出来ます。
20歳~40歳くらいの壮年の男ならそれなりの腕っ節がある可能性が高いでしょう。
つまり、戦闘訓練を受けた騎士1人で相手できるのは壮年の男性なら2人、女性ならば3人くらいが限度と考えられます。つまり、100名の人間の抵抗力を奪って無力化するには、最低でも40名、万全を期すならば同等、100名の騎士が必要です。
今回、この考察をするに当たり、村、もしくは街を軍隊が壊滅させ、建物を焼き払った記録はないか探したのですが、唯一詳細が残っていたのは1944年に行われた「オラドゥール・シュル・グラヌ」村の焼き討ちでした。この事件は本来、このようなおふざけ考察に引用すべき事件ではありませんが、どのくらいの兵士があれば非武装の民間人を無力化し、殲滅できるかの資料として一部引用します。
村の人口:650人(死者、642人。村人の99%)
兵士の人数:180人
使われた兵器:機関銃・ガソリン・手榴弾・車・バイク・ワラ
つまり、近代兵器を使っても村の人口の3分の1の兵士がいなくては殲滅は難しいのです。
ドラクエに出てくる武器で村焼きをしようとすれば、火矢と引火性の高い燃料、松明、は必須です。それじゃあまだるっこしいと思ったのか、ホメロスが持ち込んだ武器が「大砲」
剣・槍・弓・火に加えて 「大砲」 ヤル気満々
さすが冷徹なる軍師だね!!
だったら何でダーハルーネであっさり勇者に逃げられた、ホメちゃん
グレイグはホメロスの行軍日程を正確に知ることが出来たのか?
さて、ここで1つの疑問が浮かびます。ホメロスは勇者がイシの村からやってきたと教えられた後、王の命を受けて兵を率いて玉座の間から退出します。多分、イシの村に向かったと推測します。その後、グレイグは勇者を拘束して地下牢へ連れて行き、投獄します。その後、牢の中の勇者に向かって
「3日だ…、3日もすれば」というセリフをいいます。
まって、グレイグいつホメロスから行軍の日程を聞いたの?
まあ、牢に勇者を連れて行くときにすれ違ったりしたかもしれないけど、そんなに詳しく日程を聞く時間があったのかしら? 部下が伝えに来たのかしら?それとも当てずっぽ?
ここで推測できるのは、イシの村のだいたいの位置を知ったグレイグが経験に照らし合わせ、「あそこまで偵察に行くのなら3日あれば帰ってこれるな」と独り合点した可能性です。つまり、このセリフはホメロスが「3日で帰ってくるねー」と宣言し、旅だった証拠にはならないということ。です
ホメロスは勇者が囚われた日に出発できたのかどうか?
もう1つ、私が疑問なのはホメロスが勇者からイシの村の場所を聞いてすぐに旅立つことが出来たかどうかです。最初から村を焼く気満々行く場合、100名の兵士を従えて旅立たねばなりません。100名の兵士を3日間の日程で行軍させるには、以下のようなものが必要です。
- 糧食 100人分×7食 (初日、昼と夜、2日目・朝昼晩、3日目、朝と昼と計算)
- 馬、100頭(全員騎兵の場合)+予備20頭くらい
- 大砲2門 それを乗せる馬車
- 武器と防具100人分
- 糧食を乗せて運ぶ馬車
700食分の糧食というのは、1食をあんパン1個と牛乳500CC、リンゴ1個と仮定した場合、あんパン700個、牛乳35万CC(1リットルの牛乳パック350本分)リンゴ700個です。運ぶのには専用の荷車が必要になるでしょう。それを、勇者が牢に繋がれる前に用意し、軍を整えて出発する。可能? 無理でしょう。
また、勇者と王が面会した時間も気になります。
中世の文明では、夜間に長距離の行軍は不可能です。
勇者が朝10時に王様と面会したと仮定し、イシの村のことを説明しおえるまでに1時間かかったとします。ホメロスがイシの村のおおよその場所と人口を知ることが出来たのは11時です。そこから軍隊を整えて糧食準備して荷造りして、どんなに急いでも2~3時間かかるでしょう。ということは、出発はどんなに早くても13時~14時、日没が18時だった場合、行軍は最長で2~3時間しか出来ません。なら、半日かけて準備して翌朝出立した方がいいはずです。
しかし、ホメロスが当日に出発できる方法もあります。それは、数名の部下だけを従えてイシの村を目指す場合です。では、そこからどうやって村を焼くのか、次の項で考察していきます。
ホメロスが最短で村を焼く方法
では、ホメロスが最短で村を焼く方法を彼がルーラを使えた場合と使えなかった場合に分けて考えて行きます。
ルーラを使えた場合
ホメロスが数名の部下と共に、ルーラでデルカコスタ地方とデルカダール地方の境目にあるデルカダール軍駐屯地っぽい場所まで飛ぶ。(デルカダール軍のテントがあった場所)そこで馬を受け取り、イシの村の場所を駐屯兵に聞いて一気にイシの村まで行く。
村の人口や地形を観察し、村焼きに必要な人数と兵器を考える。
駐屯地にとって返し、ルーラでホメロスのみデルカダール城に戻る。
(この時点で3~4時間と考える。日没までにデルカダールへ戻れる計算)
夜を徹して行軍の準備をして翌朝軍を従えて村焼きに出発!!
ルーラが使えない場合
伝書鳩を一羽持って、部下数名とデルカダール城を出発。半日くらい全速力でかけて、デルカダール軍駐屯地っぽい場所に到着。日没までに間がある場合はイシの村偵察へ。日が落ちた場合は翌朝偵察。
伝書鳩に村焼きに必要な武器と兵士の人数を書いてデルカダール城へ飛ばす。本人は駐屯地で待つ。伝書鳩が到着したら部下が大急ぎで準備を整えて駐屯地へ向かって出立。駐屯地で合流。村焼きへGO!!
なお、ルーラが使えない場合は、ルーラが使える場合より1,2日日程が遅くなる計算。また、大砲を抱えた行軍は遅く、渓谷地帯は道が細いので単身で馬を飛ばすより2~3倍の時間がかかるものとする。
つまり、ホメロスが村を焼けるのは勇者が囚われてから、最短で3日後となる。ルーラが使えない場合は5~6日後。勇者が1日で馬でイシ~デルカダール王国までたどりついたと仮定し、その2倍として計算した。デルカダール~イシまで100人の軍隊が行軍するのに、2~3日。
ホメロスの悪行。ただ、彼は村を焼いたというより壊したという感じ。その証拠に屋根のワラや木製の家具類が焼けていない。
推測するに、村人を1箇所に集めた後、2つの大砲をのべつまくなしに村へ撃ちまくって家を破壊したのではないか?
いきなり村の入り口を100人の兵士に塞がれ、大砲で村の家々を全部壊されたら非戦闘員は戦意喪失するよね。
で、村人を囲んでいきなり「皆殺しだ!!」と
あ、これは悪人だ。
グレイグはいつホメロスに合流したのか
さて、今度はグレイグの行動を推測していきます。グレイグは勇者を地下牢に閉じ込めた後、姿を消します。次に勇者と出会うのはデルカダールの神殿を出た後です。
その間、勇者は脱獄して滝に飛び込んで、再度デルカダール国へ侵入して、ナプガーナ密林を通って破壊されたイシの村を見てしまいます。
勇者の軌跡を考えると、脱獄~再開まで1週間はたってる感じがします。
そして、問題なのが勇者が脱獄した時刻です。
地下牢に囚われる→カミュと会う→食事を持ってきた兵士を襲う→脱獄ですから、食事が1回分必要な時間(半日程度?)と推測されます。
というわけで、昼に投獄されて日没後に脱獄したと仮定した場合、グレイグに勇者脱獄の知らせが届いたのは夜と考えます。
このとき、ホメロスはルーラが使えた場合は城内で軍隊の出立準備をしています。
ルーラが使えない場合は、駐屯地で軍隊の到着を待っています。
で、地下牢探索にグレイグはいなかったので、部下に捕縛を任せていたと推測されます。
そして、滝に飛び込んだときは周囲が明るかったので、カミュと勇者は一晩地下水路をさまよっていたと推測します。
(もし、同じ日の日中に滝ダイブまで行う場合、地下牢に入れられて30分以内に脱出、1時間くらいで地下水路突破、ドラゴンを撒いて滝ダイブとなる。いや、無理だろう)
……おや、一緒に出発できない?グレとホメ
「勇者が逃げました」
「探せ」
「滝ダイブしました」
「以後行方不明です」
なんて知らせを受け取ったら、絶対に「死体を探せ」とグレイグは怒るとおもうのです。そして、「もしかしたら故郷に逃げ帰るかも」と考えるかもしれません。その結果、
「ホメロス、俺もイシの村に行く!!」と宣言した可能性は大いにあります。
結論
グレイグはホメロスがルーラを使えた場合、勇者が逃げた翌日、供にイシの村へ行く
ホメロスがルーラを使えなかった場合、イシの村へ派遣される軍をグレイグが率いて、駐屯地でホメロスと合流する。
考察する前は、グレイグが単身勇者を探している最中に偶然村焼きの現場に遭遇したと思っていましたが、時系列を追って考えてみると、グレホメは一緒にイシの村に行けると分かりました。
以上、考察終わり
騎士はつらいよ ~第二回 騎士になるのも楽じゃない~
前回の記事から大分間が空いてしまいました。ジュードロウに肩を抱かれたので、無事に天国に行けた管理人です。今回は「騎士はつらいよ」シリーズの二回目、騎士になる方法を解説していきましょう。
なお、第一回と同様にこの考察は管理人の主観と独学によるものであり、間違っていることもあるかもしれません。そのことをご了承の上、一時のお暇潰しとしてお読みいただければ幸いです。
騎士の修行は幼少期より始まる
第一回で説明したように、騎士は戦闘のプロフェッショナルです。また、騎士道を沿って誇り高く、礼儀正しく、かつ優雅に振る舞わねばなりません。
暑いからと言って真夏にステテコパンツ一丁で過ごすなど言語道断
そのため、騎士の家に生まれた子はだいたい7歳くらいになると、よその騎士の家に修行に出されます。そこで、以下のような武芸訓練を受けます
鎧を着て馬に乗って戦場を駆け巡るのですから、基礎体力は高いほどいい。したがってみっちりしごかれます。
そして、10~12歳になると大貴族の館や王宮へ出仕します。
ここで、礼儀作法と宮廷作法を教え込まれます。具体的には、誰か1人の騎士の従卒となり、身の回りの世話をするのです。食事の際は給仕をし、鎧や剣の手入れも大事なお役目。使いっ走りなんかもしていました。
幼少時のホメロスはそつなくこなしそうだけど、グレイグはきっと失敗ばっかりだったたことでしょう。
また、ドラクエには一切登場しませんが、将軍となったグレとホメにはそれぞれ10~12歳くらいの小さな騎士見習いがついていた、かもしれません。
子供嫌いのホメロスに仕えるの大変だっただろうな~~
騎士見習いになると戦場に出る
さて、騎士の身の回りの世話をしながら月日を過ごし、13,4歳くらいになると従卒(騎士見習い)となって戦場に出ます。
国によって多少差はありますが、騎士は基本的に1人では戦いにでません。特に、鎧を纏っている場合、こんな状態になったら、起き上がれません。
なお、グレイグはターミネーターなので起き上がれます
15世紀のフランスを例にあげると、騎士は「重装甲騎兵」1名、「従騎兵」1名「騎乗弓兵」2名に、非戦闘員である従卒1名、小姓1名を加えた6名1組の「槍組」という単位で出撃します。重装甲騎兵というのは、全身を覆う鎧を身につけて馬に乗った騎士のこと、つまりリタリフォンに乗ったグレイグです。従騎兵、騎乗弓兵は重装甲騎兵より軽装備で、重装甲騎兵をサポートする役割の兵士です。
おそらく、グレイグが勇者を追っかけ回していたときにボウガンを備えた弓兵を従えていましたが、これが騎乗弓兵に当たる可能性があります。
従騎兵、騎乗弓兵は重装甲騎兵のサポートをし、従卒と小姓は重装甲騎兵の武器を交換したり、落馬したら引っ張り上げたり、伝令に走ったりします。ただし、戦いません。殺される可能性はありますが、あくまでも非戦闘員です。
騎士見習いがつくのは、従卒の立場です。
グレイグとホメロスはこの年代の時にソルティコとクレイモランへそれぞれ修行に出されていたので、その先で「従卒」として戦場の空気に慣れていった可能性はあります。
なお、余談ですが中世の軍隊というのはこの槍組1人1人りだけでなく、食事を作ったり物資を運んだりする輜重部隊(しちょうぶたい)ですら数に含めていたので、1~2万人と大規模になりがちですが、実際に戦闘をするのはその3分の1くらいです。
騎士になるにはお金がかかる
さて、従卒を数年務めるといよいよ本格的な騎士になります。中世ではだいたい17歳~20歳で1人前となるケースが一般的です。一人前の騎士になる際は、主君の前に跪いて、剣を肩にあててビシッと打ってもらう儀式を行います。これが叙任式です。
みんなのトラウマ、握手スルー事件でグレイグが受けているのが、騎士叙任です。この時点でふたりは「騎士」となっている可能性が高いので、デルカダールでは騎士として立場が上がるたびにこのような儀式をしていた可能性もあります。
さて、この儀式。非常にお金がかかる上に自腹です。そのため、お金がないので騎士になれません。という人も一定数おり、そのような人は一生「従卒」として暮らしました。騎士の家に生まれても、次男、三男には金がないので従卒のままという家も多かったのです。
騎士になったら皆を養う義務がある
さて、晴れて騎士になることができたなら、主君(王様、大貴族)から領地をもらって一国一城の主になれます。その一方で、従卒(騎士見習い)・小姓、そしてその家族など全員を養う義務があります。
騎士見習いを1人自分につけるということは、その人の衣食住すべての面倒を見ることです。稼がなければやっていけません。
というわけで、騎士は戦の度に戦場に出てせっせこ稼ぎました。平時は、王族や大貴族に取り入って地位を上げてもらうのに必死です。
ですから、騎士で、デルカダールの将軍になったというグレイグとホメロスは騎士として最高の立身出世を果たしたと言っていいでしょう。
だから何でそれで闇落ちするんだよ、ホメロス
騎士の位は身分ロンダリングにも仕える
では、そもそも騎士になるための修行に出してもらえる子供、というのはどのような立場なのでしょうか?
第一に、騎士の子供です。特に、名のある騎士は自らの領地や身分を子に受け継がせるために子供を騎士にしました。
ドラクエの世界では、ソルティコの領主ジエーゴさんが息子のゴリアテ君を騎士にするためにしごいてましたね。
次に多いのは、貧乏貴族の次男、三男です。
家督と財産は長男が継ぐので、次男、三男は自分で財産と身分を手に入れろと騎士にさせられます。
残りは、見込みありそうな青少年のスカウトです。
戦乱の世では、兵士はいくらいてもかまいません。というわけで、体格がよくて兵士に向いてそうな子供を拾ってきて仕込みます。
おそらく、グレイグとホメロスもコレに近いのでしょう。グレイグは亡国の生き残り、ホメロスは没落貴族の孤児です。
このような子供はたとえ途中で死んでも後腐れないので、いっぱいあつめてしごいて生き残りだけ騎士にしたかもしれません。
また、平民の子でも騎士になれば末端貴族です。武勲次第では出世も可能です。ですから、騎士の位は身分ロンダリングの手段にもなりました。
さて、今回は切りがいいのでここまでです。次回は、騎士はつらいよ第三回、「騎士道って何?それは究極の見栄!!」です。
なお、次回は騎士特有の恋愛事情もお話しします。
ではでは
騎士はつらいよ ~第一回騎士の役割と身分~
久々に考察記事を書く余裕ができた管理人です今晩は。次回のは2月16日開催のグレホメオンリーに参加予定なので、できるときに考察をしておこうと、今回は3回に分けて「騎士」について考察をしていこうと思います。今回は第1回、騎士の身分と役割を解説していきましょう。なお、この考察は管理人の主観と独学によるものであり、間違っていることもあるかもしれません。そのことをご了承の上、一時のお暇潰しとしてお読みいただければ幸いです。
- 騎士とは馬に乗って戦う戦闘のプロフェッショナル
- 中世の戦いは技術力が必要である
- 騎士はギブアンドテイクである
- 騎士のメリットはバックレない、サボらない、金銭を要求しない
- 領地やるから働いてね。騎士は下級貴族?
- グレイグとホメロスの給与を考察する
- ドラクエⅪ世界の中で成功した騎士といえばジエーゴ
- 騎士団は警察であり病院であり、略奪集団である
騎士とは馬に乗って戦う戦闘のプロフェッショナル
騎士は、10世紀~12世紀にかけてヨーロッパ各国で活躍した馬に乗って戦う戦闘のプロフェッショナル集団です。古代、エジプトやローマでは兵の中心は武装した歩兵(重装歩兵)でした。しかし、歩兵は数がいなければ役立ちません。(古代ローマでは千単位、万単位の兵力が普通にある)ローマが国として衰退し、ヨーロッパが小国に分裂して行くにつれ、大人数の歩兵を維持することができなくなりました。そのため、より少人数で効率的な戦闘ができる人材が求められるようになり、誕生したのが「騎兵」です。古代ローマも騎兵は存在しましたが、軍隊の主力ではありませんでした。(戦車部隊なんかはあったけどね)中世ヨーロッパでは騎兵が戦闘の主力となって行くわけです。
中世の戦いは技術力が必要である
さて、中世ヨーロッパでは、戦いは剣・槍・弓などを用いて行われました。これらの武器は、「はいよ」と渡されてもいきなり使うことはできません。敵を倒せるようになるまでは技術を磨くことが必要です。つまり、訓練の時間がいります。騎士とは、戦いのために武器の訓練を行うことができる時間が取れる、つまり、経済的に余裕がなければなりません。
騎士はギブアンドテイクである
中世ヨーロッパというと何やら雅な世界を想像しますが、実際は弱肉強食の世界です。日本の戦国時代と同様、豊かな土地があればそこを奪って我が物にしようとします。
「王様いるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、王様がいたところで土地を持った貴族達は言うことを聞きません。「え、王様が何か言ってるけど、俺たち知らないしー」と戦いをしています。そもそも中世ヨーロッパというのは、王は教会に認められて初めて「王」となることができました。すべての土地は「神様」のものであり、神様の代理人である「教会」の許しを得て、はじめて「王」となることができます。現在、ヨーロッパに残る王家がみんな教会で戴冠式を行うのは、「神様に王様になる許可をもらう」という行為の名残です。
つまり、王様が命令を下したところで、教会が「命令、そんなものしらね。神は命じていない」と言って突っぱねることができるのです。じゃあ、どうやって王様は貴族とか領主とか教会に言うことを聞かせるか、答えは『武力」です。騎士に「あのさ、ちょっと土地あげるから、俺たちの言うこと聞いてくれない?」と持ちかけるわけです。騎士は騎士で、「あ、土地もらえる(領主になれる)のならいうことを聞くよ」と提示してくれた人の配下に下ります。つまりギブアンドテイクですね。王や教会、広大な土地を持つ貴族は、自分を守ってくれる武力がほしい、騎士は、経済的に安定した生活がほしい。利害は一致しましたね。こうやって騎士ができあがるわけです。
騎士のメリットはバックレない、サボらない、金銭を要求しない
さて、中世ヨーロッパでは傭兵集団というものが存在しました。戦いのプロフェッショナル集団というのは、戦いの時以外は不要です。しかも維持するのに金がかかります。そこで、「戦いが起こったときに、戦闘のプロフェッショナルを雇えばいいじゃん」という考えがでてくるのは当然でしょう。
(後の時代、これを国家規模でやった国がありましてね。スイスっていうんですけど)
管理人がずーっと読んでいる「ベルセルク」という漫画があるんですが、その中の初期「黄金時代編」に出てくる「鷹の団」というのが傭兵集団です。いろいろな貴族や王族に雇われ、武勲を立ててやがて貴族(つまり騎士)に出世しています。
(グリフィスがバカやって全部がパーになりましたけど。というかあの漫画いつ完結するんですかね)
さて、この傭兵集団ですが、要するにならずものの集まりなので、先払いでお金払ったらバックれて戦闘に来なかった、ということもあります。また、気が乗らない戦闘だとサボったり、余計な金銭を要求したりします。ならずものの集団だから、恥も外聞もありません。
いざ、戦いとなったときに、主力がばっくれた、働かない、金銭の追加を要求する。こんな事態になったら戦争どころではありません。そこで、戦闘のプロフェッショナル、かつ主君に忠誠を誓う人々が必要でした。それが騎士です。
領地やるから働いてね。騎士は下級貴族?
さて、騎士になると任命した人(王とか貴族)は、彼らに土地を与えます。この土地は、騎士の好きにしていい土地です。農民をいじめ抜いて税を絞り上げてもいいし、一丸となって土地を開拓して豊かにしてもいいし、騎士団を組織して集団で広大な土地を管理してもよいわけです。実際、ぶんどった土地を騎士団で管理して国家規模になっちゃった騎士団もいます。土地をもらった騎士はその土地でお金を稼いで、武器防具をそろえ、戦闘訓練を行い、戦が始まったらすぐに戦地に駆けつける用意をします。日本の侍と一緒です。そして、土地の相続は長男が行い、次男、三男は騎士となって武勲を立て、また新しい土地をもらうことを目指します。こうやって騎士の家は世襲されていきます。土地の運営がうまくいけば、騎士は豊かになり、失敗すれば貧乏になります。ちなみに、忠誠を誓っている貴族とか王からは土地以上の恩賞は基本的にありません。つまり、最初から生涯の賃金として土地をもらうわけです。
ですから、戦いの時は一生懸命略奪して私腹を肥やしました。
グレイグとホメロスの給与を考察する
さて、話をドラクエに移しましょう。グレイグとホメロスは騎士です。忠誠を誓っているのはデルカダール王様です。また、VD「初めての友達」ではデルカダール王は直属の騎士団を持っていて、しかも子供達を騎士見習いとして城で教育していました。ということは、給与として土地を持っていたことは十分に考えられます。そして、武器防具の制作費・管理費は自腹の可能性があります。つまり、グレイグもホメロスも土地を管理して税金を徴収しながら戦いが起これば、将軍として戦争に参加します。というわけで、「自分で領地の管理なんかやってられるかい」ということで、土地を管理する臣下を自腹で雇います。つまり、グレイグとホメロスの給与は、王様から与えられた土地から徴収された税金ー武器防具の管理・維持費ー領地にいる臣下の給与となっている可能性があるのです。もらった土地が豊かで、税金ががっぽがっぽ取れた場合はお金持ちですが、もらった土地が貧しいとけっこう懐事情は厳しい、かもしれません。
(まあ、食と住は国家の世話になってるんで、基本的にお金使わないかもー)
ドラクエⅪ世界の中で成功した騎士といえばジエーゴ
ドラクエⅪの世界では、自分で騎士団を組織しつつ領地を運営している人物が1人います。シルビアのパパ、ジエーゴです。彼はソルティコの街で独自の騎士団を組織しつつ、運河の鍵を管理していました。これが何を意味するかというと、運河を通る船から税金を取れるということです。ソルティコの運河は外海と内海をつなぐ交通の要所です。当然たくさんの船が通ることでしょう。その船達から通行税の名目でお金を徴収し、街を整備し、観光客を集め、さらに住人から税金を徴収する。そうして得た収入で騎士団を運営し、街を守る。ほら完璧じゃないっすかー。多分ジエーゴに騎士の身分を与えたのはデルカダール国です。そこからジエーゴのご先祖様あたりがこの仕組みをつくりあげ、ジエーゴが受け継いでいるのではないでしょうか?
多分、ジエーゴの家はお金持ちで、なおかつ武力あり、政治力がある最強の騎士団です。
騎士団は警察であり病院であり、略奪集団である
さて、騎士団の役割は戦で戦うだけではありません。平時は治安維持や旅人の保護、さらにけが人や病人の手当まで行いました。現存する唯一の騎士団であるマルタ騎士団、さらに医療集団として形を変えて生き残っているドイツ騎士団などは、傷病者の世話も行っています。ところが一転、戦争になると攻め込んだ場所で略奪を働きました。王様とか貴族が報償をくれれば別ですが報償なし、となると皆さん元を取ろうと一生懸命略奪し、味方同士で殺し合うこともあったそうです。
今回の解説はここまで。次回、騎士になる方法を紹介します。
グレイグの追加エピに関するネタばれと考察
久しぶりにこのブログに戻ってきました。
10月20日にインテで開催される11番目の勇者7にサークル出展するために、原稿をガリガリやっておりました。(入稿しました。本は出ます)
そうこうしているうちにドラゴンクエスト11Sが発売され、物議を醸し出していたグレイグの追加エピソードも明らかになりました。
本日、その追加エピソードを確認したので、感想および考察を行いたいと思います。
以下の諸注意をまずお読みいただき、本文へお進みください。
※ これは杜若個人の感想と主観に基づく考察です。
※ コレが正しいと声高に主張するわけではなく、こういう考え方もあるという意味で読んでいただければ幸いです。
※ 考察はこじつけに近いものもあります。
※ ドラゴンクエスト11S、「グレイグの追加エピソード」のネタばれをがっつりしております。
以上をご了承の上、本文にお進みください。
- ウルノーガと関わった時点で永遠に「普通の幸せ」を得ることができなくなった2人
- ホメロスの激情をなかったことにしなくてよかった
- 荒魂(あらみたま)と化したホメロスと神道的な解決
- 現人神と化したグレイグ
- グレイグの死で完結する救い
- 二次創作に求める救い
ウルノーガと関わった時点で永遠に「普通の幸せ」を得ることができなくなった2人
グレイグとホメロスは、「勇者」でこそなかったものの将軍として人々の尊敬を集め、国を守る要として生きていた。今までのドラクエの世界では「普通の人々が得られる最高ポジション」についていたと思う。
グレイグが「戦士ネルセンにゆかりがあるかもしれない」と匂わせているものの、双賢の姉妹のようにはっきりと使命を与えられていたわけではない。
この2人は、ウルノーガと関わったことにより運命を大きく狂わせられ、その結果永遠に、結婚し、子に恵まれ、伴侶と共に人生を歩んで老いて死ぬという「平凡な幸せ」を得ることができなくなってしまった。
これが2人の望んだ「幸せ」かどうかは分からないが、
「双頭の鷲として、協力しながら武と智の両面でデルカダールを支えて将軍職を全うして退役し、残りの余生をつりでもしてのんびり過ごす」
という可能性もなくなってしまった。時渡り後の世界では、人魚ちゃんさえ生き返ってすべてのしがらみをぶち壊して幸せになっているというのに、その点では、とても不公平だなと思う。
ホメロスの激情をなかったことにしなくてよかった
今度は肯定的な感想を述べよう。表の世界でホメロスはグレイグに強い憎しみを抱いて
魔に堕ち、そして討たれて死んだ。私はこのストーリーがとても好きだ。ドラクエは登場人物がみな聖人君子すぎるところがあり、それが「底が浅い」と感じられてしまうこともある。しかし、ホメロスは「優秀な友人への嫉妬」という誰もが一度は覚えたことがある感情を煮詰めて沸騰させたあげく、魔に堕ちてしまった。
愚かだなと思う反面、とても共感した。
Sの発売日前、ホメロスの露出が一気に増大し、「ホメロスが仲間になるのでは」という憶測が広がった。それはそれでうれしいことだったが、同時に心配になった。
「あの彼のこじらせた激情にどう始末をつけるんだ」
まさか、勇者の力で憎しみを浄化し、きれいさっぱり消してしまって握手なんてことにはならないだろうな、と思っていた。
そんなご都合主義は、表への彼への侮辱だ。人生をかけて何もかも捨てて、家族同然の人間を憎みきった感情は尊重されるべきだし、安易になかったことにされたくない。
公式が彼の激情を安易な「勇者の力」で消し去らなかったことに心から感謝したい
荒魂(あらみたま)と化したホメロスと神道的な解決
ここからは追加エピソードのネタばれと主観的な考察をしていく。
追加エピソードを見て、一番驚いたのはドラクエの世界に「怨霊」という概念があったことだ。怨霊は恨みを飲んで死んだ霊のことであり、恨みを晴らすためにこの世に仇なす存在である。怨霊を退治する方法は2つある。
1つは、怨霊より強い力を用いて怨霊を封じたり消し去ったりする方法。
2つめは、怨霊を神として祭り上げる方法。
表ルートのホメロスも生きながら怨霊になったようなものだが、1の方法で倒された。
一方、追加エピソードでの退治方法は2に近い。そもそも、黒い影が城の中をあちこち移動して人々を不安がらせたり心配させたりという演出そのものが、菅原道真とか崇徳天皇が怨霊化したときのエピソードによく似ている。彼らは、政治争いに敗れて宮中をさり、失意の中で死を遂げて怨霊となって復活した。そして、たたりを畏れた人々の手によって「神」として祀り立てられることで、自尊心を満足させ、心を鎮めた。
追加エピソードでグレイグが行った行動はまさに怨霊と化したホメロスを「神」として祀りあげる行為だったと思う。
ホメロスはグレイグと戦うことで、己の心情を吐露することができた。一方、グレイグはホメロスを怨霊と化してしまったのは自分だという自責の念を戦いを通してある程度浄化することができた。つまり、あの戦いは「荒魂」(あらみたま)を「和魂」(にぎみたま)とする儀式であり、ホメロスがグレイグによって怨霊から軍神へと変化できたと考えられる。(あくまでも主観)
現人神と化したグレイグ
さて、怨霊から神となったホメロスであるが、彼に必要なのは祀られる場所である。菅原道真は天満宮、崇徳天皇は白峯神宮に祀られている。祀られることにより、神となった怨霊はその恐ろしさと生前の功績などを脈々と後生に伝えることができるようになった。それは、永遠の命を得たに等しい。
ホメロスが自らを祀られる場所として選んだのはグレイグの纏う「鎧」である。つまり、鎧を纏ったグレイグは歩く「神社」であり、グレイグはホメロスの功績や人となりを語り続けることになるだろう。(推測)
それによって、ホメロスはグレイグがこの世に存在する限り、人々とグレイグの「記憶」の中に生き続けることができるようになり、人々は、グレイグの姿を見るたびにホメロスを思い出すことができるようになった。
また、グレイグはホメロスの魂が宿った鎧を身につけている限り、「現人神」となって「神」と同等の尊敬の念を得ることができるだろう。
ただし、「現人神」というのは、人々の尊敬を集める代わりに「人」としての生活や幸せを手放さなければならない。グレイグは、ホメロスの魂を祀り、その功績をたたえることで自らも神の一部として尊敬を受ける代償として、おそらく「神の花嫁」ならぬ「神の花婿」もしくは「神の代弁者(審神者)」となって、人間としての幸せをすべて手放し、一生をホメロスの魂と共に生きるのではないかと思う。
それがグレイグの幸せかもしれないし、贖罪かもしれない。彼はもしかしたらそれが一番幸せかもしれない。でも、その姿を傍目から見た人ははたして心から喜べるのであろうか。
グレイグの死で完結する救い
ドラクエ11では、時渡りルートでホメロスに一切の救いはなかった。彼は今までの功績がすべて無かったことにされ、誰も彼の真意を知らず、その存在は抹消され、歴史の闇に葬り去られたことだろう。
一方、Sでは、ホメロスの魂が浄化されグレイグの鎧に宿ったことにより、現人神となったグレイグの口からホメロスの功績や人となりが語られるようになった。(かもしれない)
それにより、ホメロスの名誉は回復されその命は半ば永遠のものとなった。しかし、半ば神の世界へと引っ張られ、それでも肉体を持つグレイグは世界が平和になった後、己の幸せを追求できる立場には戻れないだろう。と考える。
グレイグが口をつぐみ、己の幸せを追求しだした瞬間にホメロスの功績を語るものはいなくなり、彼は第二の死を迎えるからだ。
だから、彼は一生をホメロスの功績を語りながら生き続け、その寿命が尽きたときにようやくその役目から解放される。語り部は次の世代へと移り、グレイグとホメロスは同じ「軍神」としてデルカダールに祀られるだろう。ここまで来てやっとグレイグとホメロスは真に対等の者となる。
二次創作に求める救い
3DS版をプレイした際、表ルートをクリアしたとき「ホメロスは世界を巻きこんでグレイグと心中したかったのではないか」と考察した。ほしくてほしくてたまらなかったものが手に入らないなら、世界ごと壊して自分も死のうという発想だ。
巻きこまれた方はたまったものではないが、それだけ彼は苦しくてつらかったんだろう。その真意をグレイグは悟っていたと思うし、きっと世界が平和になり、自分が必要なくなったと思ったら、静かに彼の後を追ったのではないかとすら思う。
今回の追加エピソードで、ホメロスは魂以外のすべてを引き換えにしてグレイグを手に入れた。グレイグはもうホメロスの側から離れることはないし、その功績をずっとずっと語ってくれる。グレイグだって幸せかも、しれない。
でも、グレイグはずっと孤独で、この世のもうどこにもいない人間のことを語り続け、そして一生を終えるだろう。
それをかわいそうだと思うのは傲慢だろうか。
だから、私はホメロスの生存ifをこれからももう少しだけ作り続けるだろう。
ホメロスとグレイグが神とその代弁者ではなく、どこにでもいる普通の男性同士として、一緒に笑ってケンカして、共に老いて子孫を繁栄させ、やがて家族に看取られながら一生を終える。そういう夢を見たいのだ。自分のために。
シミュレーション 農夫。をプロデュース ~貿易商、農夫と組んで利益を上げる~
避暑地から帰ってきて自宅のネット環境の快適さに涙している管理人です。
今回は、貿易と農業の考察最終回として、実際に貿易商ホメロスが農夫グレイグが作る農作物で利益を上げるまでのプロセスをシミュレーションしてみようと思います。
なお、ありとあらゆる時代の貿易方法をミックスした上での主観に基づいた考察となります。決してこれがただしいとか、これ以外は間違ってると主張するものではありません。
小麦だけでは力不足
ドラクエ11のキャラブックで、グレイグは「俺の剣が必要なくなったら、農業して小麦を育てたい」と言っていました。ということで、グレイグは小麦農家であると仮定します。では、小麦が貿易の主力商品になるか? というと、答えは「かなり厳しい」です。まずはその理由を箇条書きにしてみましょう。
- 育てるのに手間がかかる:小麦の収穫は基本的に1年に1度
- 自分たちも消費する:できた小麦を全部売ったら自分たちが餓死する
- 高値で売れない:小麦粉は主食として消費されるため、値段を上げるにも限界がある
- 人力で作るには限度がある:100kgの小麦を買いたいのに、30kgしか売買できる小麦がないとなれば、赤字確定
貿易商が利益を出すには、商品の買い取り価格+運搬費用+運搬に必要な人件費と諸経費+税金<売値にしなければなりません。小麦のみでこれをやるには、よほど大量の小麦を売りさばく必要がありますが、上記したように人力での小麦栽培は限度があります。
(グレおじの農地を襲って全部小麦を略奪し、ついでにグレおじもかっさらっちゃうって手もありますが、それは海賊行為になる)
では、それを解決するにはどうしたらいいか。以下の3つの方法があります。
- グレイグが住む地域の人口を増大させて人海戦術で農地開拓、大量生産体制を作る
- 小麦と合わせて貿易に使える作物を生産する
- グレイグのところ以外の農地でも小麦を買い集める
1の方法だと小麦の消費量も増えるので、加減が難しいでしょう。3でもいいのですが、農地ごとに小麦の品質がバラバラだと全体的な品質が低下します。というわけで、2の方法を取るのが手っ取り早いでしょう。
「よし、グレイグ。小麦以外に金になる農作物を作れ」
「えー。俺は小麦を育てて生きたいんだ。ホメロス」
「黙れ、現金収入がなければ一生貧乏暮らしだぞ!!」
~~こうしてグレイグはホメロスの言うとおりに育てる農作物を増やすことにしました~~
商品作物をつくろう!!
商品作物とは、自分たちで消費せず市場での売買を目的に作る作物のことです。
一例を挙げると、綿・菜種・紅花・茶・コーヒー・タバコなんかがあります。この中で、小麦が主要農作物として作ることができる地域で育てられるものは「菜種」と「紅花」です。この2つからは、油と化粧品が作られます。油も化粧品も「コレがなきゃ生きられない」というものではありません。しかし、あれば生活がより豊かになります。つまり、嗜好品です。なお、油は「食用」だけでなく「照明用」としても利用されます。王宮など広い建物ほど大量の照明が必要です。菜種・紅花からとれる油は品質が高いので、高値で売ることができるでしょう。
(ダーハルーネではまるで電灯がついているかのように、煌煌と窓が明るかったが、考えないものとする)
ちなみに、紅花は日本では山形県が主要産地なので、小麦がよく育つ地域ならすくすくと育つはず。……です(多分)
「ふふふ、グレイグ。紅花を収穫したら風車で絞って油をとれよ」
「ホメロス、油を絞ったら風車がベッタベタになるので小麦がひけないよ」
「風車を分ければよかろう……」
~~風車は油を絞るのにも使えます。これ、まめな~~
グレイグが現金収入を得られればのこぎり貿易ができるぞ
のこぎり貿易とは、グレイグがいる土地から農作物を買って別所で売りさばいた後、今度はグレイグがいる土地ではとれないけれど需要が高い物を仕入れ、グレイグたちに販売する貿易のことです。これにより、「船をからのまま運航する」という無駄がなくなり、ホメロス君はより大きな利益を上げられます。ただし、グレイグがホメロスから商品を買うには、現金収入が不可欠です。この「現金収入」の手段が商品作物の生産と販売です。これにより、グレイグの生活も豊かになることでしょう。
「グレイグ、新しい商品が入ったぞ」
「スパイスとお茶と……むふふ本はないのか。ホメロス」
「お客さん……ちょっと値は張りますがいいものがありますよ」
~~いつもグレイグは現金収入を全部むふふ本に使ってしまうとかありそう~~
農閑期に稼ごう!!
さて、農業には「農閑期」が存在します。だいたい冬ですが、農作業がない反面、収穫もないので、農家には厳しい季節です。そのため、農閑期には出稼ぎに行ったり別な手段で収入を得たりする農家は珍しくありません。では、ホメロスの協力を得て、グレイグが農閑期に収入を得る方法としては何があるのか? その1つに「綿の加工」「絹糸の加工」があります。綿も絹も布の原料ですが、綿とカイコガの繭から糸を紡ぎ、布を織るまでが手間がかかります。そこで、ホメロスが秋口に綿を買い込んでグレイグのところへ向かい、そこで、綿から糸を紡ぎ布を織ってもらえば、今度は「布」として販売が可能です。たとえば、グレイグの土地で特殊な布の織り方など「ここでしかできない技術」が開発された場合、農閑期の格好な収入源となるでしょう。
「グレイグ、技術開発をしよう」
「ホメロス、俺は服なんて着られればいいと思うがな」
「趣味の悪い芥子色の服を平気で着るお前に聞いた俺が馬鹿だった」
~~おしゃれ服に関してはシルビアちゃんを呼んでこよう~~
グレイグ、領主になろう
さて、これまで貿易商が農夫と組んで利益を上げる方法をいろいろと述べてきましたが、これは、グレイグが無位無官の農民だった場合は不可能なのです。というのも、中世の世界では土地はすべて領主の物であり、勝手に作物をつくったり売買することはできませんでした。ということで、グレイグにはまず領主になっていただかなくてはなりません。。。つまり「よろしい、ならば戦争だ!!領地を奪い取れ!!」ということですが、グレイグさんは将軍なので、領地の一つも持っているだろうということで、ホメロス君にプロデュースしてもらいましょう。
ということで、大雑把ですが貿易商が農夫と組んで利益を上げる方法の一例をシュミレーションしてみました。次回は、騎士の生活、貴族との違い、騎士になる方法などを紹介します。