ドラクエよろず考察所

ドラクエに関するありとあらゆることを主観に基づいて考察しています。

騎士はつらいよ ~第一回騎士の役割と身分~

久々に考察記事を書く余裕ができた管理人です今晩は。次回のは2月16日開催のグレホメオンリーに参加予定なので、できるときに考察をしておこうと、今回は3回に分けて「騎士」について考察をしていこうと思います。今回は第1回、騎士の身分と役割を解説していきましょう。なお、この考察は管理人の主観と独学によるものであり、間違っていることもあるかもしれません。そのことをご了承の上、一時のお暇潰しとしてお読みいただければ幸いです。

騎士とは馬に乗って戦う戦闘のプロフェッショナル

騎士は、10世紀~12世紀にかけてヨーロッパ各国で活躍した馬に乗って戦う戦闘のプロフェッショナル集団です。古代、エジプトやローマでは兵の中心は武装した歩兵(重装歩兵)でした。しかし、歩兵は数がいなければ役立ちません。(古代ローマでは千単位、万単位の兵力が普通にある)ローマが国として衰退し、ヨーロッパが小国に分裂して行くにつれ、大人数の歩兵を維持することができなくなりました。そのため、より少人数で効率的な戦闘ができる人材が求められるようになり、誕生したのが「騎兵」です。古代ローマも騎兵は存在しましたが、軍隊の主力ではありませんでした。(戦車部隊なんかはあったけどね)中世ヨーロッパでは騎兵が戦闘の主力となって行くわけです。

中世の戦いは技術力が必要である

さて、中世ヨーロッパでは、戦いは剣・槍・弓などを用いて行われました。これらの武器は、「はいよ」と渡されてもいきなり使うことはできません。敵を倒せるようになるまでは技術を磨くことが必要です。つまり、訓練の時間がいります。騎士とは、戦いのために武器の訓練を行うことができる時間が取れる、つまり、経済的に余裕がなければなりません。

騎士はギブアンドテイクである

中世ヨーロッパというと何やら雅な世界を想像しますが、実際は弱肉強食の世界です。日本の戦国時代と同様、豊かな土地があればそこを奪って我が物にしようとします。

「王様いるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、王様がいたところで土地を持った貴族達は言うことを聞きません。「え、王様が何か言ってるけど、俺たち知らないしー」と戦いをしています。そもそも中世ヨーロッパというのは、王は教会に認められて初めて「王」となることができました。すべての土地は「神様」のものであり、神様の代理人である「教会」の許しを得て、はじめて「王」となることができます。現在、ヨーロッパに残る王家がみんな教会で戴冠式を行うのは、「神様に王様になる許可をもらう」という行為の名残です。

つまり、王様が命令を下したところで、教会が「命令、そんなものしらね。神は命じていない」と言って突っぱねることができるのです。じゃあ、どうやって王様は貴族とか領主とか教会に言うことを聞かせるか、答えは『武力」です。騎士に「あのさ、ちょっと土地あげるから、俺たちの言うこと聞いてくれない?」と持ちかけるわけです。騎士は騎士で、「あ、土地もらえる(領主になれる)のならいうことを聞くよ」と提示してくれた人の配下に下ります。つまりギブアンドテイクですね。王や教会、広大な土地を持つ貴族は、自分を守ってくれる武力がほしい、騎士は、経済的に安定した生活がほしい。利害は一致しましたね。こうやって騎士ができあがるわけです。

騎士のメリットはバックレない、サボらない、金銭を要求しない

さて、中世ヨーロッパでは傭兵集団というものが存在しました。戦いのプロフェッショナル集団というのは、戦いの時以外は不要です。しかも維持するのに金がかかります。そこで、「戦いが起こったときに、戦闘のプロフェッショナルを雇えばいいじゃん」という考えがでてくるのは当然でしょう。
(後の時代、これを国家規模でやった国がありましてね。スイスっていうんですけど)

管理人がずーっと読んでいる「ベルセルク」という漫画があるんですが、その中の初期「黄金時代編」に出てくる「鷹の団」というのが傭兵集団です。いろいろな貴族や王族に雇われ、武勲を立ててやがて貴族(つまり騎士)に出世しています。

(グリフィスがバカやって全部がパーになりましたけど。というかあの漫画いつ完結するんですかね)

さて、この傭兵集団ですが、要するにならずものの集まりなので、先払いでお金払ったらバックれて戦闘に来なかった、ということもあります。また、気が乗らない戦闘だとサボったり、余計な金銭を要求したりします。ならずものの集団だから、恥も外聞もありません。

いざ、戦いとなったときに、主力がばっくれた、働かない、金銭の追加を要求する。こんな事態になったら戦争どころではありません。そこで、戦闘のプロフェッショナル、かつ主君に忠誠を誓う人々が必要でした。それが騎士です。

領地やるから働いてね。騎士は下級貴族?

さて、騎士になると任命した人(王とか貴族)は、彼らに土地を与えます。この土地は、騎士の好きにしていい土地です。農民をいじめ抜いて税を絞り上げてもいいし、一丸となって土地を開拓して豊かにしてもいいし、騎士団を組織して集団で広大な土地を管理してもよいわけです。実際、ぶんどった土地を騎士団で管理して国家規模になっちゃった騎士団もいます。土地をもらった騎士はその土地でお金を稼いで、武器防具をそろえ、戦闘訓練を行い、戦が始まったらすぐに戦地に駆けつける用意をします。日本の侍と一緒です。そして、土地の相続は長男が行い、次男、三男は騎士となって武勲を立て、また新しい土地をもらうことを目指します。こうやって騎士の家は世襲されていきます。土地の運営がうまくいけば、騎士は豊かになり、失敗すれば貧乏になります。ちなみに、忠誠を誓っている貴族とか王からは土地以上の恩賞は基本的にありません。つまり、最初から生涯の賃金として土地をもらうわけです。

ですから、戦いの時は一生懸命略奪して私腹を肥やしました。

グレイグとホメロスの給与を考察する

さて、話をドラクエに移しましょう。グレイグとホメロスは騎士です。忠誠を誓っているのはデルカダール王様です。また、VD「初めての友達」ではデルカダール王は直属の騎士団を持っていて、しかも子供達を騎士見習いとして城で教育していました。ということは、給与として土地を持っていたことは十分に考えられます。そして、武器防具の制作費・管理費は自腹の可能性があります。つまり、グレイグもホメロスも土地を管理して税金を徴収しながら戦いが起これば、将軍として戦争に参加します。というわけで、「自分で領地の管理なんかやってられるかい」ということで、土地を管理する臣下を自腹で雇います。つまり、グレイグとホメロスの給与は、王様から与えられた土地から徴収された税金ー武器防具の管理・維持費ー領地にいる臣下の給与となっている可能性があるのです。もらった土地が豊かで、税金ががっぽがっぽ取れた場合はお金持ちですが、もらった土地が貧しいとけっこう懐事情は厳しい、かもしれません。

(まあ、食と住は国家の世話になってるんで、基本的にお金使わないかもー)

ドラクエⅪ世界の中で成功した騎士といえばジエーゴ

ドラクエⅪの世界では、自分で騎士団を組織しつつ領地を運営している人物が1人います。シルビアのパパ、ジエーゴです。彼はソルティコの街で独自の騎士団を組織しつつ、運河の鍵を管理していました。これが何を意味するかというと、運河を通る船から税金を取れるということです。ソルティコの運河は外海と内海をつなぐ交通の要所です。当然たくさんの船が通ることでしょう。その船達から通行税の名目でお金を徴収し、街を整備し、観光客を集め、さらに住人から税金を徴収する。そうして得た収入で騎士団を運営し、街を守る。ほら完璧じゃないっすかー。多分ジエーゴに騎士の身分を与えたのはデルカダール国です。そこからジエーゴのご先祖様あたりがこの仕組みをつくりあげ、ジエーゴが受け継いでいるのではないでしょうか?

多分、ジエーゴの家はお金持ちで、なおかつ武力あり、政治力がある最強の騎士団です。

騎士団は警察であり病院であり、略奪集団である

さて、騎士団の役割は戦で戦うだけではありません。平時は治安維持や旅人の保護、さらにけが人や病人の手当まで行いました。現存する唯一の騎士団であるマルタ騎士団、さらに医療集団として形を変えて生き残っているドイツ騎士団などは、傷病者の世話も行っています。ところが一転、戦争になると攻め込んだ場所で略奪を働きました。王様とか貴族が報償をくれれば別ですが報償なし、となると皆さん元を取ろうと一生懸命略奪し、味方同士で殺し合うこともあったそうです。

 

今回の解説はここまで。次回、騎士になる方法を紹介します。