ドラクエよろず考察所

ドラクエに関するありとあらゆることを主観に基づいて考察しています。

貿易商だって?何を売ってくれるんだい?

大都会の暑さに耐えかねて、日本で最も有名な避暑地にやってきた管理人です。

今回は、貿易に関する考察第2回、貿易商が扱った商品と利益の出し方について解説します。なお、これはあくまでも管理人の主観によるもので、これが絶対正しいとか、これ以外の貿易商の書き方は間違っているというわけではありません。

 貿易商とは異国の品を売買する

商人とは、品物を仕入れて付加価値をつけて販売する人々です。貿易とは外国との商業取引のことです。つまり、貿易商とは「その国では生産ができず、高い値段を払っても欲しいものを売る」商売となります。つまり、A国ではたくさん取れたり作られたりしているが、B国では全く取れない、作れない、でも需要が高いという品物をA国で仕入れ、B国で売れば商人は大きな利益を得られます。これが、貿易の基本です。

香辛料が貿易の代表格っぽく扱われている理由

ドラクエの世界で商人と貿易といえば、ドラクエ3の船入手イベント、ポルトガの黒コショウです。黒コショウをはじめとする香辛料は、貿易の代表格というイメージがありませんか?(あるよな、あるって言えよ、あるだろう?)
その理由は、コショウをはじめとする香辛料が温暖な地域でしか取れなかったため、そして、ヨーロッパでの需要が高かったためです。
香辛料が入ってくるまで、ヨーロッパの調味料事情はとても貧しく、塩とハーブくらいしかありませんでした。コショウは、肉の風味をアップするだけでなく肉独特の気になる臭いを消してくれます。(実際にコショウ抜きで肉を焼いたりするとよくわかるよ)
さらに、コショウを使うとやや腐りかけの肉でもなんとか食べられたという超現実的な事情もあります。(当時、冷蔵庫なかったし、肉は貴重なんで腐りかけでも食べた)
というわけで、原産地(インド)では一山単位で取引された香辛料は、アラブを経由し、ヨーロッパへ来る頃には1粒=同じ重さの金くらいに高騰しました。
10円で仕入れたら10万円で売れるくらいの感覚です。そりゃあ、命かけて運ぶ価値があります。
こんな品物はほかにもたくさんありました。一例をあげてみましょう。

  • 絹製品:中国で製造された絹製品は紀元前にはローマまで運ばれた。それを運んだ道がシルクロード
  • さとう:サトウキビだって温暖な気候でしか取れないのでヨーロッパでは貴重品
  • 綿:実はヨーロッパで綿は気候の関係で育たない。綿はヨーロッパでは長貴重だった
  • 昆布:北海道で取れて船で日本海を回って一大消費地大坂まで運ばれた
  • ミカン:和歌山で取れて江戸(東京)まで運ばれたよ
  • 茶:戦争が起こるくらい重要な貿易品だった

昆布やミカンは日本の例です。日本は1つの国だから貿易と言えるの?という疑問がありますが、江戸時代の日本は藩が違えば別の国扱いで、昆布やミカンは収穫できる地域が限られています。つまり、立派な貿易品。実際、ミカン貿易で財を成した「紀伊国屋文左衛門」という人がおりまして、その屋敷跡と言い伝えられているのが、東京にある清澄庭園です。

貿易品は食べ物だけじゃないぞ

貿易品として扱われた品は、食べ物だけではありません。工芸品や金属も貿易品です。さきほど上げた綿や絹製品が一例ですね。今でこそ綿製品は普段着の代表格ですが、アメリカで大規模な農園が作られて生産されるまで、ヨーロッパでは超貴重品でした。文献には、「知ってるか?東の方には羊がなる木があるらしいぜ(羊毛は繊維の代表格)」という記述があるくらいです。中世では植物性繊維といえば麻だったので、綿製品は王侯貴族の衣装でした。
たぶん、ドラクエ11の世界でも、デルカダール・クレイモラン・バンデルフォン・ユグノアあたりは、気候的に考えて綿が取れないのではないかな?と推測されます。
プチャラオ村とかナギムナー村あたりでは取れそうなんで、プチャラ村あたりで取れた綿をホメロスが買取り、デルカダールやクレイモランで売れば大儲けできるよ。多分。
なお、これは余談ですが、中国の英語名である「チャイナ」は陶磁器、日本の英語名である「ジャパン」には漆器の意味があります。これは、近代、中国からは陶器が、日本からは漆器製品が盛んにヨーロッパに輸出された名残です。

貿易は高度な情報戦である

さて、このようにいろいろな品物が売買される貿易ですが、大切なのは「何を、どこが必要としているか」という情報です。先ほどのコショウを例に挙げると、14世紀までコショウはインドでしか取れないと思われていましたが、実は東南アジアでも取れることがわかり商人がそこからコショウを買取り、ヨーロッパに輸出したので、一時的にコショウの供給量が増大し、コショウの価格は暴落します。
つまり、需要と供給のバランスが崩れると「命を懸けて運んだ品物が二束三文でしか売れなかったよー」となるわけです。
輸送手段が、船・徒歩・動物しかない世界では、1つの品物を運ぶために数か月~1年をかけます。ですから、どの品物をどのくらい仕入れるか、非常にシビアな情報戦が繰り広げられました。また、貿易商同士で「供給過多になりすぎないように、めっちゃ需要あるけど、この品物の輸出量は抑えようぜ」という協定も結ばれたりします。
さらに、「いや、この品物めっちゃ貴重なんだよ。仕入れるの苦労したんだよ。この国でこの品物持っているのはお前だけだよ」と購買欲をくすぐって、二束三文の品を高額で売ることも珍しくありませんでした。
一例をあげると、安土桃山にフィリピンから日本に輸入された「ルソンの壺」です。
この壺、フィリピンではタダ同然の品でしたが、日本では「千利久」が「この壺、めっちゃ高価で貴重やで」と言ったので、高値で売買されるようになったものです。
つまり、これが商人の話術です。
たとえば、ホメロスがサマディーの王様に
「いや、この植物はすごく貴重でしてね、わが国デルカダールでもめったに取れないんです。王は、この植物を庭に植えられて愛でておられ、それを貴族がこぞって真似するありさま。さ、この植物、今なら1000Gでお譲りしましょう」
と元値が10Gの雑草を売りつける、というやり取りがあるかもしれません。(妄想)

権力者を味方につけて貿易ルートを独占せよ

貿易商にとって、商品と同じくらい大切なのが貿易ルートです。品物を運ぶ道筋が確保できないと、貿易は成り立ちません。そして、貿易船や隊商が通る道筋は、商品や売上金を狙う強盗の出没地帯にもなりやすいものです。ですから、商人たちは権力者にお願いして、貿易ルートの安全を守ってもらっていました。
なので、デルカダールの騎士団の任務の1つに「貿易ルートを魔物から守る」というものがあっても、全然おかしくないわけです。
また、「いっそ、この貿易ルートを国が独占しちゃえばいいんじゃね?」という考えも出てきます。実際にコショウ貿易では14世紀にオスマントルコ帝国が中東を支配した為、インドとヨーロッパをつなぐ香辛料陸路ルートが完全に独占され、ヨーロッパの商人は香辛料の貿易ができなくなりました。これに怒ったポルトガルが、「じゃあ、海路でインドまで行ってやる!!」と造船技術を発達させて海路開拓に乗り出したため、世は大航海時代を迎え、やがてアメリカ大陸の発見につながったのです。(この説明、かなり大雑把なので、興味ある人は自分で詳しく調べてね)
この逸話が、ドラクエ3の船入手イベントに使われているわけなんですね。(最もドラクエでは「黒コショウやったら、船やるよ」というので、順番が逆)
つまり、貿易商にとって権力者とのつながりはなくてはならないものでした。
(ここでホメロスとモブ権力者との関係に無限の想像ができますね)

ホメロスが騎士から貿易商に転職した場合、今までの人脈を生かして暗躍しまくることでしょう。

 

この時点で3千文字超えました。きりがいいので今回はここまで。次回、「グレイグが作った農作物を輸出せよ、貿易商ホメロスの活躍」と題しまして、実際にある商品を貿易品として売りたい場合はどうするか、シミュレーションをしてみます。