ドラクエよろず考察所

ドラクエに関するありとあらゆることを主観に基づいて考察しています。

貿易商になりたいって?よろしい、ならば勉強だ

今回も前回に引き続き、キャラブックのセリフから考察を行っていきます。ホメロスのインタビュー記事に、こんなセリフがありました。「別な職業に就くなら、貿易商がいい(意訳)」ならば、考察せねばなりますまい。今回は、貿易商の定義、役割、なり方なんかを考察していきます。

 貿易商は商人兼文化と情報の伝達人

ドラクエの世界には3から「商人」という職業が登場します。

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ほかの職業が西洋風の格好をしているのに、なぜ商人だけが中東っぽい格好をしているのか。これは、おそらく十字軍が活躍していた時代(9~11世紀)における貿易商のイメージだと推測されます。十字軍が中東のエルサレムに到達できるようになったということは、中東から人々もやってこれるようになった、ということです。ヨーロッパから中東へ行ったのは軍隊でしたが、中東からヨーロッパにやってきたのは商人でした。彼らは、木綿や香辛料・砂糖をヨーロッパに伝え、さらにヨーロッパの文化に大きな変化をもたらしました。商人が活躍すれば、物だけでなく文化や情報も行き来します。つまり、貿易商というのは、物資だけでなく文化と情報の伝達人なのです。

貿易商といえば船でしょ

貿易商と言えば、大抵「船」を所有しています。答えは簡単で、船が最も多くの荷物を積んで早く、遠くまでいける輸送手段だからです。
物を運ぶには、人が持つ、馬やロバなどに積んで運ぶなどの手段がありますが、これではせいぜい数百キロの荷物しか運べません。しかも、人も動物も道なき道を進むことはできず、荷物を運び続けるには、食料・水・適度な休憩が必要です。
つまり、人と動物だけで荷物を運ぼうとすれば、道を整備し、商品のほかに水と食料を持って移動しなければなりません。あー、めんどくさい。
一方、船は川や海という限られた場所ではありますが、歩いたり動物に乗ったりするより早く、多くの荷物を運ぶことができます。しかも、船は水も食料もいりません。ですから、貿易商にとって船は必須の商売道具なのです。

貿易が道を伸ばし村を作る

とはいえ、船だけでは目的地まで荷物を運ぶことは難しいでしょう。貿易商が扱う商品すべてが海辺でとれるとは限りません。また、海がない国同士で貿易をしたい場合もあるでしょう。ですから、商品を人や動物に積んで目的地まで運ぶ手段も必要です。これが隊商(キャラバン)です。大人数ほどより多くの荷物を運べ、安全性も高くなります。さて、隊商が2つの地点を行き来すれば、道ができます。道ができれば商人以外の人も行き来するようになります。行き来する人が多くなれば、その人たちに食料や水を売って生活する人たちの集団もできます(宿場町)こうして、貿易が広がれば広がるほど、道が伸びて人が移動し、生活圏が広がっていくのです。

ドラクエ11世界の航海術を考察するその1 11の世界では外海を渡る必要がない?

さて、ドラクエといえば船です。だいたい物語の序盤広範に船が手に入り、一気に行動範囲が拡大しますね。

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ドラクエ11の船、シルビア号です。この船を初見したとき、「小さい」と思いました。

この船は、形状から判断するとカッター帆船と推察されます。カッター帆船とは、一本マストと縦帆(赤い帆の部分)を備えた小型帆船で、喫水が浅く、小回りがきき、主に沿岸ぞいを走る船です。
念のためにほかのナンバリングを確認すると、3のマストは3本、5は2本、8ではアルバート家が所有する船が2本マストです。マストの数が増えるほど帆の数は増え、船も大きくなります。帆が増えれば推進力も大きくなってより早く、より遠くまで行けるようになりますが、その反面、喫水が深くなるので沿岸部を航行することが難しくなります。

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さて、ここでドラクエ11の地図を見てみましょう。この世界の海は、大半が内海です。地中海とか瀬戸内海とか黒海を想像してください。
バンデルフォン、ユグノアは内海に面しており、 デルカダールは内陸に位置していますが、海に直結する大河があります。内海に面していない唯一の国はクレイモランですが、ソルティコの水門を渡れば、沿岸沿いを航海してたどり着くことが可能です。
つまり、ドラクエ11の世界は太平洋とか大西洋のような何もない外海を航海する必要がない、と推測されます。
だから、カッター帆船で十分なんですね。多分、沿岸沿いをいかない航海として最も距離があるのは、内海の真ん中を突っ切るくらいじゃないでしょうか?

ドラクエ11世界の航海術を考察するその2 航海術は学問の塊だ!!

ツイッターでもつぶやきましたが、航海術は学問の複合技術です。そもそも航海術ってなにかというと、「船が一体どこを走っているのか知る」技術なんですね。ちなみに、船を操るのは操船技術といいます。
海には目印がありません。そのため、闇雲に船を走らせると1時間ぐらいで、ここはどこ状態になります。船の位置を知るには、緯度と経度を計算しなければなりません。
緯度=地図の横線 赤道が0度、天頂と赤道の角度で表される。正午に水平線と太陽の高度角を測定するか、北極星と水平線の高度角を計算して出す。
経度=地図の縦線、緯度と同じ方法で求められるが、正確な時刻がわからないと正確な計算ができない。そのために定められたのが、グリニッジ標準時。経度が1度ずれれば距離が100kmずれる正確な標準時がわからないと、月と太陽、もしくは月と黄道付近の恒星の距離、および角度を計算する月距法を用いる

コレ、理解できます?書いていて自分もあんまり理解できてません。うんと簡単に説明すると、月と太陽・恒星の位置を毎日測定して角度を計算し、そこから船がどこにいるか測定します。これが、航海術の基本です。つまり、最低でも天文学と数学の知識と計算能力がないと船は操れません。
ドラクエ11の場合、沿岸部を航行するんでそれほど正確な緯度経度がわからなくても航海できる可能性はありますが、その代わり、地形を覚えておいて「ここはどこら辺だ」と認識しておく必要があるため、地理の知識が必要です。
さらに、潮の流れも把握しておかなきゃいけません。

なに、航海術って天才しか身につけられなくない?

ドラクエ11世界の航海術を考察するその3 人心を掌握せよ!!

ちょっと航海術から話はずれますが、船を動かすには最低でも10人以上の人出がいります。1人で動かせる船は小型ヨットがせいぜいです。つまり、船は小さな社会であり、船長は人心を掌握しておかないと、不満がたまると謀反を起こして殺されます。(よくあった)

現実の社会でも、外洋の航海中に犯罪が起きた場合、船長の権限で身柄を拘束しておけます。人が亡くなった場合、水葬を命じることができます。(つまり、悪人が船長にななっちゃうと、遠洋まで船で運んで××すこともできちゃ)(商法に基づく権利)

なので、船長は部下から慕われてなきゃいけません。だからホメロス、部下に人気あったのかもしれません。

閑話 ホメロスは人間GPS

航海術を身につけた人は、船の上以外でも自分がだいたいどこにいるかわかるそうです。星と月の位置、山の形、地平線と北極星の角度、昼なら太陽と地平線の角度が分かれば、「あ、今だいたいここにいるね、時刻はだいたい何時」と計算が可能です。つまり、人間GPSです。そんな人間に地図を渡せばどうなるでしょう。

答え:一度も足を踏み入れたことがない土地でも、最短時間で正確な目的地にたどり着くことができる。

これは、行軍するうえで最も大切かつ重要なことです。軍隊が道に迷えば、それだけ体力と食料を消費します。目的地に到着するまでの日数と時刻を読み間違えれば、深刻な食糧不足に陥る可能性もあるでしょう。
しかし、航海術を身に着けたホメロスが軍を指揮すれば、この恐れはほぼなくなります。しかも、シビアな計算能力で必要な食糧や武器の量を割り出し、兵士の体力を温存させながらの行軍だってできるはずです。
こんな人間が国を裏切って魔物についたんです。怖くない?絶対怖い。よくデルカダールの最後の砦が落ちなかったよね。もしかして、司令、遊んでた?

 

長くなったんでここで1度ブログをまとめます。次回、貿易商が扱った商品と農業との連携を解説します。