ドラクエよろず考察所

ドラクエに関するありとあらゆることを主観に基づいて考察しています。

食料から考察するドラクエ11世界の流通と保存技術

さて、早いものでドラクエ世界の食料考察も4回目を迎えました。今回は、「食料から考察するドラクエ11の世界の流通と保存技術」を主観的に解説していきます。なお、キャラブックの内容を一部ネタバレしておりますので、ご留意ください。

ドラクエ11の世界の物流方法を考察する

前回までの記事で考察してきたように、ドラクエ11の世界では良質の小麦が取れる地域が限られていたり、北国に南の国で取れた食べ物が売られていたりします。つまり、「食物が世界中に輸送できるほど、物流が発達している」と考察することができます。食物は、米や小麦・ジャガイモといった長期保管できるものを除き、「腐敗」というタイムリミットがあります。腐敗しやすい食物の特徴としては、以下のようなものを上げることができます。

  • 水分が多い
  • 栄養豊富(雑菌が繁殖しやすい)

つまり、生野菜・果物・乳製品・調理済みの食品・生肉・生魚、これらは腐りやすく、長期輸送に不向きです。
では、今度はドラクエ世界の輸送方法とそれぞれのメリット・デメリットを考察してみましょう。

  • 徒歩:どこでも運べるが、一度に運べる量が少なく輸送に時間がかかる
  • 馬・馬車:徒歩よりも早く、一度に運べる量は多いが行ける場所に限りがある
  • 船:行ける場所は限定されるが馬車以上のスピードが出て、一度に運べる量が多い。
  • ルーラ:ドラえもんのどこでもドア(便利だけど非現実的)

この中で、最も移動速度が早いのがルーラです。ルーラを使えば、生肉だろうが生魚だろうが、できたての料理だろうが一瞬で遠くまで運ぶことができるでしょう。しかし、誰もが手軽にルーラを使えて、輸送手段の主流になるような世界なら、そもそも馬車も船も発達しないし、街道の整備だってされないので、ルーラを使う輸送方法は主流ではない、と考えます。
ということで、ドラクエの世界では物資の輸送は徒歩・馬・船が主流であると考えていいと思うのです。

長期輸送に耐えられるよう食料を加工せよ

さて、輸送手段が確保できたら、次は長期輸送に耐えられるように食物を加工する方法を考えてみましょう。
冷蔵庫・冷凍庫がない世界で食物を長期保管するには、以下のような方法が考えられます。
ヒャドを使って凍らせろという意見は受けつけない

  • 水分を抜こうぜ(干物・干し肉・干し野菜にしてしまえ)
  • 塩漬けにしようぜ(ベーコンやハムだって塩漬けの一種だ!!)
  • 砂糖漬けにしようぜ(知ってた?ジャムって保存食なんだぜ)
  • 酒につけようぜ(アルコールも防腐剤だ!!)
  • クエン酸や酢酸につけようぜ!!(酢漬けとレモンマリネは長持ちするぜ)
  • 生きたまま運べよ!!(肉の保管方法はこれが一番)
  • 脂で覆ってしまえ(ペミカンって非常食です)

なお、以前戦国時代の食料の作り方を再現した方の話によると、戦国時代の作り方そのままで料理を作ったところ、「塩辛くて食べられなかった」と言っておられました。個人的に文献をあさったところ、保存食の梅干しは、今では塩分濃度15%~20%で作られます。減塩梅干しの場合は10%以下というものもあるでしょう。一方、冷蔵庫が普及していなかった明治時代の梅干しのレシピでは、塩分濃度30%で作るように指示されています。つまり、これだけ塩分濃度が高くないと長期保存がきかないんです。
ジャムも、今では果物に対し砂糖が1:0.5~1ですが、明治時代のレシピは1:2です。果物の2倍、砂糖をいれないと常温保存ができないんですね。ですから、ドラクエ11の世界では、保存食は恐ろしく甘い・しょっぱい・すっぱかったかもしれません。

戦争の時は家畜もつれて行こう

さて、ドラクエの世界ではものではなく人が大量に移動することもあります。その一例が魔物討伐とか戦争でしょう。将軍がいるくらいですから、数千人単位の軍事行動があってもおかしくありません。こんな時、食べ物をどうするか。以下のような方法が考えられます。

  • 主食:小麦粉を持っていって、水でこねてゆでる。パンは2度焼きして徹底して水分を抜く
  • 野菜:現地調達か塩漬け・酢漬け(ハーブやきのこならそこらへんに生えてる)
  • 肉:生きたまま持っていきましょう

2度焼きのパンというとイメージが湧きにくいですが、一度焼きあがったパンをもう一度焼くことで、固くなって水分が抜け、いわゆる乾パンに近い状態になります。これをラテン語で「ビス コクトゥス(2度焼きのパン)」と言い、ビスケットの語源となりました。メッチャ堅いんで、ミルクとかスープに浸して食べます。そして、肉類は干し肉を運ぶこともありますが、数千人単位の軍事行動だと、干し肉をキロ単位で運ぶより牛やヤギを生きたまんまつれて行ったほうが効率がいいのです。豚一頭から、約50~60kgの肉が取れますから、1人当たり200gとして、250人分の肉が賄えるでしょう。また、寒い地方だとラードは最高の防腐剤になります。ラードとお肉を一緒に炒めてそのまま冷やせば、水分が飛んだ肉のラードまぶしになります。そのまま鍋に放り込めばスープになるでしょう。ただし、サマディでは無理なので注意しましょう。

 

 

海と水路を活用せよ!!

 では、次に食料の輸送方法について紹介します。

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 ここで再登場、ドラクエ11の地図です。見る限り山が多く、平地が少ないという特徴があります。このような土地で、徒歩や馬で大量の食糧を運ぶのはとても大変です。それはなぜか、道を整備するのが滅茶苦茶大変だからです。ドラクエの世界の土木技術では、山を掘ってトンネルを作るのに、100年単位の時間がかかるでしょう。中世の山道をショートカットする技術といえば、「切り通し」という方法がありますが。この方法だと、人ひとり通るのがやっとの道を山の中に通すのがせいぜいです。つまり、大量の物資を輸送することができない。そこで、注目してほしいのが海です。海なら、船を使えば、大量の食糧を輸送できます。そして、ドラクエの乗り物と言えば船です。そういえば、デルカダールとサマディーを除き、ドラクエ11の主な都市は海に面しています。つまり、船による物資の輸送がしやすい場所にある、と言えます。じゃあ、デルカダールは船を活用しなかったかと言えばそうでもなく、王都のすぐ前にまで迫った大河を利用したんじゃないかと個人的に考えています。デルカダールは、灌漑によって豊かな国に生まれ変わったそうですが、この灌漑が、「もともとは細く、反乱も多かった川を広げ、船が通れるように整備した」と考えれば、豊かになった=内陸部まで船が入れるようになり、海から襲われることのない王都を作ることができたとも推測できるでしょう。

(川を魔物がさかのぼるとか、川に魔物が住み着くとか、そんなことは考えてはいけない)

ドラクエ11の航海術を考察する

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 こちら、ドラクエ11の船、シルビア号ちゃんです。深紅の帆が印象的ですが、これはおそらくカッター船という小型の帆船です。カッター船は一本マストの帆船で、こんな風に走ります。

https://www.youtube.com/watch?v=xnvdvvngsuo

帆船はマストが多いほど人手がいるので、アリスちゃんとシルビアさんだけではカッター船がせいぜいだったのかな、と考えていますが、この船、外輪があるんですよね。
外輪って動力補助なんですが、蒸気とかね、あの、エンジンで動かすんです。。。だからね、シルビア号って蒸気帆船かな?と思ったんですが、煙突もないしね。この船、動力は何かなー?って。そういえば、ドラクエ5とか、8も外輪船が出てきたんですが、どの船も煙突ないし、化石燃料で動くエンジンもないだろうし、どうやって動かすんですかね。この外輪。おや、誰か来たようです。(手記はここで途切れている)

まあ、細かいことはさておき、このクラスの帆船があるってことは、少なくともトン単位で物資は積めるでしょう。

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 こちら、杜若がコレクションしている江戸時代の大阪の地図です。大阪に住んでいる人なら分かると思いますが、長堀・道頓堀・現在の御堂筋にあたる部分が全部水路なんです。ここから何が分かるかと言うと、都市部でさえ、道路ではなく水路で物資を運んでいたということです。つまり、現在の自動車にあたるのが、ドラクエの世界では船なんです。まさに、流通のかなめと言っていいでしょう。おそらく、外海は帆船、都市内は手漕ぎの小型船で物資を流通させていたかもしれません。

 軍師ホメロスが魔物側についた恐ろしさ

 さて、こっからキャラブックのネタバレを含めた考察に入ります。ホメロスはデルカダール王国で海軍を指揮し、航海術に長けていたそうです。この航海術とは何かと言うと、「船を安全に航海させることができるルートを知っている」ということです。海には潮の流れと、風の吹き具合、海底の深さなどにより、安全に船が通れる場所が限られています。航海術とは、そのルートを探すことです。もし、ホメロスがデルカダール国の海軍の長として、全世界の海の安全な航路を知っていたとしたら?その情報を持ったまま、魔物側に寝返ったとしたら?これはもう、全世界の物流ルートが魔物側に握られたのと同じです。今まで安全に航海出来た場所に、強力な魔物を放つだけで、全世界の物流はストップします。そして、食料を輸入に頼っていた国から、ゆっくりと食糧不足で滅びていくことでしょう。ホメロスがグレイグに固執してなきゃ、全世界は大樹なんか落とさなくたって滅びてたよ)

ホメロスが毎日使っていたレモンの価格を考えてみよう

では最後に、ホメロス君の毎日の習慣で使っているレモンをデルカダールで買った場合、どのくらいの費用がかかるか、物流ルートを含めて考えてみましょう。
レモンは、厳冬期でも‐2℃以上である温暖な気候で育つ柑橘類です。現在でも、スペインとイタリアの一部以外、ヨーロッパではレモンは栽培されていません。(ちなみに生産量一位はインドな)。
ですから、冷涼高地のデルカダールではレモンは栽培できないでしょう。ドラクエ11の世界では、ダーハルーネ、ソルティコあたりがレモン栽培に適した気温であるようです。ですから、ソルティコ・ダーハルーネで育てられたレモンは、船に乗せられ、内海から川をさかのぼってデルカダールへ運ばれたと考えられます。つまり、この時点で、レモンは元の価格に運送料と人件費がプラスされているでしょう。
ここで、日本の江戸時代におけるみかんの運搬経路と費用を参考までに紹介します。みかんは和歌山など温暖な地域で収穫し、海路で江戸に運ばれて販売されました。このときの記録がきちんと残っていまして、ミカン22.5kgが1両(12~13万)で売れたとあります。ということは、1kgあたり5,500円です。めっちゃ高い。送料、バカにならない。
デルカダールでも同じようだった場合、レモン1個が120g前後なので、1個当たり500円になります。高い、高いぞ。(今、スーパーでアメリカ産のレモンは1個50~80円)
毎日500円以上のレモンを使ってお茶を飲む男。さすがホメロス
江戸時代の物流と架空世界のドラクエを比べるのはちょっと無理がありますが、両方帆船を使い、海を渡って運ばれたと考えると、当たらずとも遠からずと考えています。

 

以上です。

 

今回で食料の考察は一区切りします。次回は「住居」ドラクエの城について考察します。