ドラクエよろず考察所

ドラクエに関するありとあらゆることを主観に基づいて考察しています。

ボイスドラマから考察するドラクエ11の食糧事情

今までTwitter上で行っていた考察ですが、TLの一部だけを抜き出して引用されることが多かったので、試しにはてなブログを使っていきたいと思います。今回の考察は「ドラクエ11の世界の食」がテーマです。なお、語っていることは、断片的な情報を元に主観的に考察したことです。「これが正しい」と主張しているわけではありません。

 

 

 

 ドラクエ11の世界にはジャガイモがあった

 6月20日に一部内容が公開されたボイスドラマ「ふたりの盗賊と伝説の秘宝」では、次のようなセリフがあります。

ジャガイモサラダおまち」

 「ずいぶんしけたサラダだな。ジャガイモしか入ってないぞ」

「あれっぽっちの金でこんなご馳走を作ってやったんだ。ほめてほしいくらいだよ」

ここから、以下のようなことが推測できます。

ドラクエ11の世界にはジャガイモがあり、しかも安価で普及している。

ドラクエの食糧事情は今までほとんどプレイヤーの想像に任されていました。個人的に、中世ヨーロッパ風の世界観とバンデルフォン跡地の風景から、「多分パンが主食の西洋的な食生活なんだろう」と思っていたのですが、ジャガイモが存在し、しかも普及しているとなると、いろいろと考察ができることがあります。特に、以下、順を追って説明していきます。特に、国力に関してはジャガイモが大きな影響を及ぼしている可能性があるでしょう。

 

バンデルフォンが繁栄を極め、そして復興しなかったのは麦のせい?

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こちら、ドラクエ11に登場する麦畑。ここから、ドラクエ11の世界では「麦」が栽培されていることが分かります。近くに風車もあるので、収穫した麦を粉にする技術もあるのでしょう。つまり、「パン」という食べ物が多分存在します。そして、広大な麦畑はバンデルフォン地方以外に存在するような描写がありません。(麦畑はいっぱいあるけど、描かれていないかもしれない可能性もあるが、それ考えたら話が進まないのでないものとする)
ここから推測できるのは、「ドラクエ11の世界は麦を大規模に栽培できる地域が限られている」可能性です。ここで、ドラクエ11の世界地図を見てみましょう。

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ここから見て取られるのは、山岳が多く、平地が少ないことです。唯一バンデルフォン地方の山だけが山頂付近まで緑に覆われ(低山を表してる?)、平地が広めです。麦を安定して栽培し続けるには、一定の広さの農地と肥料を提供する家畜が必要です
世界地図を見る限り、バンデルフォン以外に麦を大量かつ安定して栽培できるような広い平地を持つ場所がないような気がします。
ここから推測できることは「麦を唯一大量に安定して栽培できる土地を持つバンデルフォンは、麦を大量に栽培し、他国に輸出することで繁栄を誇っていた」ということです。穀物は人が生きていくうえで欠かせない食料です。
いくら高価でも欲しい国は多いことでしょう。また、小麦は粉にしてしまえば常温で長期保管が可能なので、輸出品としては適しています。

バンデルフォンは芸術の都として栄えていたそうですが、芸術は生活が安定してこそ楽しむ余裕があるものです。バンデルフォンは安定して供給される麦のおかげで、外貨を稼げたうえ、飢えとはほぼ無縁の国だったかもしれません。また、麦栽培を大規模に行っているところは、肥料の供給と畑仕事に使うために牧畜も盛んです。牧畜が盛んということは、ミルク・卵・肉が安定して供給されるということでもあります。食生活が豊かで栄養が豊富だと人は大きくなります。グレイグが身長2mにもなったのは、恐らくバンデルフォンの食糧事情と無関係ではないでしょう。(身長は遺伝と生活環境で決まるので、バンデルフォンに先祖代々暮らしていたら、高身長の遺伝子が生まれ、グレイグに受け継がれてもおかしくない)

さて、バンデルフォンは30年前に魔王によって滅ぼされましたが、現在でも麦畑は健在です。ここから推測できることは、「麦畑を作ってる人々が少なからずいる」ということです。麦を栽培するには土地を耕し、大量の肥料の投入が必要なので、自然に生えているとは考えにくいでしょう。
国が滅んだのに、人々が残っている。一見するとおかしなことですが、麦畑の所有権が他国に移っており、その国の人々が入植していたら話は別です。バンデルフォンから麦を買っていた国々からすれば、国が滅んで麦畑だけ残ったというのは、ラッキーチャンス以外の何物でもありません。と同時に、バンデルフォンが復興しては困るわけです。つまり「各国が手を組んでバンデルフォンの復興を妨害すると同時に穀倉地帯の奪い合いをやった可能性も……」

おや、だれか来たようです……

 

デルカダール王国が軍事大国になれたのはジャガイモのおかげ?

さて、話をジャガイモに戻します。デルカダールは、「高地で雨が少なく、土地がやせていた」とゲーム内で説明があります。その後、灌漑工事をして豊かな土地に生まれ変わったらしいですが、麦が栽培できる平地の少なさだけはどうしようもないはずです。おそらく、平地を全部麦畑にしたところで、バンデルフォンの大穀倉地帯の収穫量には及ばなかった可能性は十分あるでしょう。(麦は連作障害が起きやすいので、狭い土地での栽培が難しい)

そして、雨が少なく痩せた土地でも、問題なく育ち、しかもカロリーも栄養も豊富、主食にもなる作物が「ジャガイモ」なのです。
ジャガイモは、40gの種イモから約400gの収穫が望めます。収穫量が10倍です。一方、麦は、近代に入るまで、約3倍の収穫、つまり、1粒の麦を撒いても3粒の収穫しか望めなかったと言われています。(諸説あるよ!!)
また、ジャガイモは麦よりも長期保管ができませんが、ゆでたり焼いたりするだけで食べらることができます。つまり、加工のための労力と設備がいりません。さらに、狭い土地でも栽培が可能です。(段々畑で栽培も可能。山間でももちろん問題なし)
つまり、ジャガイモが安定して大量に栽培できれば、多くの人口を養うことが可能になります。多くの人口を養うことができれば、国力は増大します。個人的にデルカダールは金・銀・銅などの鉱物に恵まれた国で、それ売却し、麦を買うことによって国力を増大したと考えていましたが、ジャガイモがあるならば話は別です。

現実の世界では、ジャガイモはヨーロッパの食糧事情を一変させ、人口増加の引き金になり、さらにアイルランド人の大量アメリカ移住のきっかけにもなったすごい作物です。ドラクエの世界だってジャガイモの耕作が定着する前と後では国の情勢が一変したっておかしくないでしょう。

デルカダールが陸と海、両方で活躍できるほどの軍隊を抱え、他国に兵を派遣できるようにするためには、兵を養う大量の食糧が必要です。この食料の大半を占めていたのがジャガイモだった可能性は十分にあるでしょう。ジャガイモの生産が安定してくるにつれ、デルカダールはバンデルフォンから麦を輸入する量を減らせるようになり、浮いた予算で軍備を強化し、軍事大国への道を歩みだしたかもしれません。

 

デルカダールの人々の食事を考察する

では最後に、デルカダールの人々の食事内容を少し考察してみます。デルカダールは高地で雨が少なく、のちに灌漑で水不足が改善された土地です。
おそらく、年間の平均気温も低いことでしょう。ということで、ジャガイモのほかは、麦の中でも寒さに強くやせた土地でも育ちやすい、ライ麦・大麦が栽培された可能性が高いと思います。
ライ麦は黒パンに、大麦はビール・麦茶に使われる麦です。デルカダールでは子供の飲みものは麦茶だったかもしれません。

つまり、黒パン・ビール・ジャガイモ・そして肉とか卵が食べられていた可能性があり、現実世界のドイツ料理に近かったかもしれません。野菜はおそらく高地・少雨でも育ちやすいキャベツ・レタス・玉ねぎ・豆などが栽培されていた可能性があります。キャベツは酢漬けにしていた可能性もあるでしょう。

また、これは想像の域を出ませんが、「そば」が栽培されていた可能性があります。「そば」は雑穀の一種で、高地・寒冷・少雨でも育ちます。そばは現実のヨーロッパでも粥や無発酵のパンとして食べられていました。デルカダールでもジャガイモ栽培が行われる前は、そばが大切な主食だった可能性があります。

 

ちなみに、グレイグのように激しい運動をする壮年男性が1日に必要とするカロリーは、3,000~4,000kcalです。これをジャガイモとパン、そしてビールで賄う場合、

パン3斤(約1,000kcal)ジャガイモ10~20個(1,000~2000kcal)、ビール3リットル(約1,000kcal)となります。ビール3Lは多すぎと思われるかもしれませんが、中世のビールはほぼ水代わりに消費され、アルコール分も2%前後しかありませんでした当時の記録を見ると、大人は起き抜けから寝るまでビールばっかり飲んでます。子供は後ビールといって、ビールの樽の中に水を入れたものが与えられたようです。(諸説あるよ!!)

 ビールとパンばっかり食べてたわけじゃないんだろうという意見もありますが、野菜と肉の安定供給が始まったのは、近代に入ってからで、近世まで人々は日常のカロリーのほとんどを穀物とジャガイモで取っていました。お肉は、週に3回くらいあればいい。なので、平日の食事がパン・ビール・芋のみの可能性は十分にあると思います。

 

 

以上、ジャガイモが普及していることを前提としたドラクエの食糧事情を考察してみました。次回は砂糖の普及とお菓子について考察してみます。